196.真ラストダンジョン(7)
気を取り直して、私たちは小会議を開始した。
「皆、いけそうかしら?」
「あのスピードなら、私は何とかなるかな? 問題は逃げ道が完全になくなった場合だけど、殲滅力は足りるかしら?」
「あの数はちょっと骨折れそうネ。でも、経験値美味しそうネ!」
「ジャン、経験値無いからこの世界」
「ぶぅ」
何だかんだで、移動中にしっかりと迫りくる脅威の確認をしていたようで一安心である。
流石に敵の陣形を空から目視しているかどうかでは、動きに違いが出てくるのだから。
「そっ、皆自衛しつつ殲滅出来る自信はありって事で良いわね?」
「「「勿論」」」
何とも頼もしい事で。
ハウルの捉えた数は百匹もの巨大蟻が居ると計測していた。
分布的に、3匹、4匹、5匹と数を増やしまるで弓をひいた様な陣形で迫ってきていた。
蟻などの敵は死体をも気にせず動く機動力が一番厄介で、完全に息の根を止めなければ最悪の地形となりえる。しかし私たちの火力ではあの巨体の息の根を止めつつ殲滅するのは困難。
それでも、彼女たちは殲滅出来ると言う。
ふふ、面白いじゃないの。
「良いわ、それなら殲滅戦と行きましょう。まぁ、貴女達が殲滅しきれないようなら私がその全てを蹴散らすまでなのだけどね」
「私が最初に規定数を狩って、レースゲーマは何だって凄いってとこ示す!」
「高効率狩りとか私たちの十八番だし、負ける気がしないネ」
「領分。ハウルもいるから負ける気は全くしない」
「そっ、それじゃ」
ゴゴゴゴ、と地鳴りが近づいてくるのがわかる。
正面を向いた私達は、一斉に駆け出す。
「「「「「アリだー!」」」」
おまじないのようにそう声を上げるのを合図に、正面へ駆ける私とカタリナ。
そして両サイドへ展開して駆けるジャンとジェ。
戦略の言葉を交わすことも無く巨大蟻殲滅戦へと赴く。