192.真ラストダンジョン(3)
『菜茶、装備品の色合いはどうにかならないのか?』
何か珍しく色合いを気にしてくるハウルに、私は無理よと答える。
『そう、か。この配色では映像化は限りなく絶望的だぞ』
『映像化って、ログ見返せないって事?』
『……肯定だ』
何か間が気になったけど、映像ログを残して解析するのは必要よね。
あれ、私たちの姿って……いや、今はそんな事を気にしてる暇はないわ。ダレてきて、大切なことに気が付かぬまま全てを失うような……そう、同じ轍を踏む訳にはいかないのよ。
「さっ、後は随時ドロップをあさりつつ進むとしますか」
「「シャンインッ(応)」」
「ラジャー(了解)」
既に表示されている範囲全てが『埋まっている』マップを元に、私達は駆けてゆく。
遭遇したゴブリンは構える間もなくホイールスピナーに叩き潰され、蝙蝠が天井から襲い掛かろうとするもドラゴンスレイヤーに成すすべなく叩き物され。
移動速度を一切落とすことなく駆けてゆく。
ジャンはドロップをせっせと拾い、私は下着姿がハウルの録画機能に写り込まないようにマントを必死に両手で押さえつつ駆けた。
一番の問題である、現実世界の体力が尽きる事が懸念されるも、どうやら現実の体との同期はある意味完全になっていたようで、100%電気信号だけでのやりとりになっているようだった。
「休憩なしで次の階層、いっちゃう?」
そんな私の提案はすんなりと皆に受け入れられた。
このまま第二階層、息つく間もなく続く罠の数々が続く階層へと足を運ぶことになった。