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191.真ラストダンジョン(2)

 そしてちゃっかり1時間後、誰一人遅れることなく初期地点へと再集合を果たしていた。

 流石だと、手際の良さに感心する私である。


「それじゃ、お披露目会といきましょうか」


 私の第一声と共に、自信ありありに頷いく皆。


「それじゃ、私が最初に!」


 最初に拘るカタリナがずずぃと、私たちの中央へ足を運ぶと指をピンアウトさせ装備を次々と着用していく。皆同じ思考なのか、誰一人としてフル装備でこの場に現れた者はいなかった。


「まずは上着! ライダースジャケット(黒)、効果は速度アップ(中)と風抵抗(大)の一品! 防御力は+1で、このジッパーが何とちゃんと上下に動いて脱いだりできるのよっ!」


 テンション高いなぁ。いくら女子だけしかいない空間だからって、実際に脱いで地肌をみせなくても良いだろうに。


「そしてレーシングパンツ(黒)っ! 効果は速度アップ(大)と風抵抗(大)の一品! 防御力は+0だけど、何とこのフィット感は本物のレーシングパンツに通ずるものがある一品よ!」


 累計防御力1、うん、まぁはい。


「そして武器はホイールスピナー(鈍器)、攻撃力10と間違いなく優良武器ね。このゴムの部分はダメージ軽減がついてるから、上手く当てなきゃダメなのが玉に瑕(たまにきず)ね」


 たまにきず、ね。アメリカの人でも使う表現だったかしら? そんな事を思いつつ、次のアイテムを待っていると。


「私からは以上よ! ふふん、良いでしょう? 1時間でこれだけ揃える私はビューティフォー!」


 自己評価高いわね、でも確かに上々。


「それじゃ、次は私ネ」

「ジャン、本当にアレを装備するの?」

「勿論ネ」


 ジェが微妙そうな表情をみせるからには、何かがあるのだろう。

 そして淡い光と共にジャンの容姿が変わっていく。


「ジャーン! 伝家の宝刀、チャイナドレス(青龍)ネ! 可愛いは正義ネ!」

「ジャンはチャイナドレス着ると自が出ちゃって、あんな話し方になる」


 私が突っ込むか悩んでいた語尾のネについて、素早く解説を加えるジェ。出来る子。


「そしてこの鉄扇があれば、怖い者無しネ!」


 能力を全く言わないあたり、完全にジャン『も』ネタ装備に走っている可能性が高い。


「ジャン、お腹のラインがだらしない」

「ばっ、何言うネ! ちょっと昨日食べ過ぎただけネ、すぐ戻るネ……」


 私はそんな二人のコントをよそに、装備品をじっとみつめる。

 こっそりと解析のモノクルを着用していたため、装備品の解説ウインドが浮かび上がる。


『チャイナドレス(青龍)、防御力0、魅了(大)。

 魅了(大)の発動条件:20歳までの女性が着用時常時発動パッシブ


 ……、発動してないのにチャイナドレスというだけで着るなんて、若いって良いわね(二十歳を超えてるとは言ってない)。


『鉄扇、攻撃力3。毒(大)。

 手元にあるボタンを押すことにより、扇子の先端に仕込まれた毒針が敵を穿つ』


 服装はともかく、武器は上々。

 もしかすると主力にさえなる良武器ね。


「ウー、ジェもあんなに食べてたのにお腹出てないとか卑怯ヨ」

「次、私のお披露目」


 ジャンの声を無視してジェが中央へと入れ替わる。


「私の装備はコレ」


 ふわりと光に身を包むと、ジェはフルプレートアーマーを装着していた。


「フルプレートアーマ(漆黒)、防御力30、魔法無効化。

 鈍足(大)。アーマーブレイク時、無防備したぎすがたになり全防御力と魔法抵抗が0になる」


 鈍足がちょっとひっかかるけど、思ったより機敏に動いてみせてるから問題はないのかしら?

 筋力という面では、没入時の私達は人間離れした力を発揮できるわけだし、装備の重量は枷になってない可能性が非常に高い。


「武器はコレ」


 ガチャリ、と音をたて構えて見せたソレはあまりにも巨大だった。


「ドラゴンスレイヤー。攻撃力9、ドラゴンに対しては攻撃力が10倍の貫通属性が付く。あのマップで有効」


 いや、まさかジェはあの階層のドラゴンを倒すつもりでいる? そもそも討伐するのならば女性のみでの編成などしない。

 この子も一癖ありそうね……。


「次、イクラさん」


 もう私の出番か。

 しょうがない、お披露目といきますか。


恥熟ちじゅくのマント(漆黒)、防御力+1。

 装飾装備マント以外の防具をみにつけていない場合、完全回避が50%追加」


 ちなみに、下着はカウントされない。

 後、このマントは紐で固定するタイプだから激しい行動をとると地肌が見え隠れしてしまうのがアレだな。


「そして武器はレッグカッター。攻撃力3+αで、蹴りの攻撃力が加算されるタイプらしいの。このタイプは初見だから、少し楽しみね」


 もはや、数値管理はほとんど意味をなさないといって過言ではない。

 私達のプレイヤースキルでどうとでもなるのだから。


 ただ、間違っても私たちは二度同じ過ちを繰り返すことはしない。


 クソゲーとしてではなく、ちゃんと楽しんだうえで最高の攻略をしてみせる。

 それがプロゲーマーのなすべきことなのだから。


「菜茶、一番変ね」

「マイティ、変態ネ!」

「イクラさん、それ恥ずかしくないですか?」


 それぞれ好き勝手言ってくれるが、女しか居ないし問題ないわよ!

 他のドロップは全部ゴミだったとはとても言えない私であった。

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