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172.ラストダンジョン(18)

 勢い良く鳴き声を上げながら突進したゴーストシープは真ん中に居るアンデットゴリラに向かい正面から角攻撃を仕掛ける。


 が、あっさりと攻撃を回避されモロにカウンターの回し蹴りをその身に受けこちらまで転がってくる。


「グオォォォ、メェ」


 うん、見た目はゴリラだけどアンデットなんだよなぁ。


「スリープヴォイスガキカナイ、メェ」

「ごめん、アンデットは睡眠耐性が高めみたいで……」

「何茶番してんだ、来るぞ!?」


 ギードが大斧でゴリラの攻撃を自前の格闘センスで何とか防ぐも、防御もギリギリといった感じだ。

 俺も光大剣とロングスナイパーライフルをそれぞれ二体の攻撃を防ぐも、防御の隙間を縫ってくるような攻撃に背筋が凍る。


「もう一回だ!」


 俺の声で再びスリープヴォイスを発動させてくれた。


「メェェェェ!」


 すると、僅かに動きが鈍ったアンデットゴリラにゼロ距離射撃と光大剣の叩きつけるように頭上に振り下ろした。


「ドッ」


 鈍い音が重なるように響き、手に重い反動とグシャリと頭蓋を潰す感触が伝わってくる。

 ギードの方も一閃でアンデットゴリラの首を跳ね飛ばしていた。

 続くように、ゴロンとソレが地面に落ちる音が響く。


「まぁ、耐性が強かろうが二回目も至近距離で食らえば隙くらいは出来るよな。ナイスひつじ

「メェ、オクノホウノ、ドウスル」

「同じ作戦でつぶせるんじゃないか? 隙さえ作って貰えるならば私一人でも余裕で殲滅してみせる」

「まぁ落ち着けって。今ので警戒度が高まっただろうし、スリープヴォイスは音範囲だし迂闊には近づいてこないと思うよ。眠らせて狩る、という意識を常に持って動けば心読しんよみが逆に抑制力になるから、一気に突破しよう」

「私としてはこの羊野郎を一発殴っておきたいところだけど、今回の働きに免じて許しておいてやるよ」

「ヤルカ? メェ」

「オウ、ヤッてやろうじゃねぇか!」

「仲間割れはやめろよ」


 ったく。ギードの協調性の低さは問題だなぁ、今度調教しなきゃなぁ。


「ん、今私の事を思ってくれたか!?」

「何故そうなる!」

「チョウキョウ、オレモサレタイ」

「お前は人の心の声を勝手に漏らさないで! いや、ギードその潤んだ瞳で顔を覗き込むなっ、近い近い近いっ」


 とにかくっ。

 心を読まれるというのがこんなにも厄介だとは。

 仲間に読まれてもギクシャクするし、敵に読まれると圧倒的不利な状況下におかれてしまう。

 攻撃手段、防御手段、タイミングに奥の手も読まれてしまうのは本気でよろしくない。


 今回はかろうじて『奥の手が無数にあった』からこそ、対応が追いついたが普通ならば何十回もデスポーンしてようやく最初の一匹を狩れれば良い方な難易度だろう。


「とにかく、早くこの階層を抜けるぞ」


 羊、君は次の階層に連れていけないけど、扉まで宜しく頼むな。

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