表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/216

171.ラストダンジョン(17)

 ドンッ、と鈍い痛みを感じた時には俺の体力が1削れていた。

 防御力が大幅にモブの火力を上回っている為、最低保証の1ダメージが適用されたのだろう。

 気配も辿れず、姿を確認する事も出来ないまま一方的に被弾した。


「くっ、壁際まで走れ!」


 俺の号令を聞くまでも無く、既に動き出していたギードとゴーストシープは壁際へと駆け出していた。


 だが。


「ちぃ、当然読まれてるよなぁ!?」


 壁際に背を向け姿を構えると、アンデッドゴリラが待っていたとばかりに姿を現す。

 その数三匹。

 まだ姿を見せない大群は一体何匹控えている? いや、それよりもこの状況。

 ただでさえ隣に陣取っているゴーストシープですら厄介だと思っていたのに、心読しんよみ祈願持ちのアンデッドゴリラが目の前に三匹、後方に多数とか。


 ここは素直に諦めてリスタートするか? 対策メタしとけば大した脅威ではないのに。


「ニンゲン、オレヲオイテドコカニゲルツモリナノカ」


 あー、ギードはかえせば何も問題無いけど、何そのつぶらな瞳!? ゴーストシープ、何かめっちゃ……可愛くは無いな、うん。


「いやね、どうにかしたいけど、本気マジで行動が読まれちゃってるみたいで攻めあぐねているの、わかるよね」

「私が圧倒的な身体能力で制圧する、か?」

「止めとけギード、鍛えた俺達人間ヒトよりも、心技体を備えた動物種ゴリラが圧倒的に能力値は上だ。単純なAI(しこうりょく)しか持たないモブだからこそ、パターン入れて勝てるの、わかるよね?」

「それくらい理解ってる! 始まった瞬間から勝敗は対策をより練っている相手が、そして巻き返す一手を備えている方が必ず勝つ。だから」


 おお、まさかギードさん? 何か隠し玉があるっていうのかい。


「相打ちでガンガン潰していく!」

「馬鹿だったっ!」


 こんば馬鹿な会話しながらも未だ襲われないのは、制空権を展開しているがために踏み込んだら俺とギードに回避の有無を言わさず切り裂かれるというイメージを与え続けているからだろう。


 実際、超近距離で正面160度くらいならばどうとでも対応してみせる自信はある。

 ギードと二人で180度全てをカバーしている今、そう易々と踏み込ませるつもりはない。


 ととと、の黄金の太陽(ゴールドオブサン)ならば正面の三匹くらいシュンコロなのに、無差別範囲フレンドリーファイアのせいで今は使用できない。


 こんな大群相手だと、時の力を扱ったところで対策しているモブが混ざっているだろうし、もし対策しているモブが全くいなかったとしても、流石に『攻略法として意味が無い』。


 そして、ふと一つの解へと思い至る。


「おいひつじぃ、お前一匹とアンデッドゴリラ一匹がぶつかったらどっちが勝つ?」

「オレヲナメルナ。ゴリラガカツ」

「……お、おう、なら十分な装備があったらどうだ?」

「ソウビ? ドウダロウカ、ドウグハツカッタコトガナイ」

「そうか、なら試しにコレを使ってあいつら三匹をぶっ飛ばしてみろ! 成功したらそのままソレはお前にやるからさ!」

「ム、何ダコレハ」


『スリープゴートの声帯せいたい首輪テープ(テイムモンスター専用):この首輪をつけたモンスターは、鳴き声がメェと変化する。

 OP:対象を睡眠にさせるスリープヴォイスの使用解放』


無限伸縮紐アンリミテッドリード(テイムモンスター専用):このリードを持つ限り、仲間被害フレンドりファイアを無効化する。

 OP:高級革グリップ』


 オプションの高級革グリップは、読んで字のごとくリードを引く持ち手部分が高級革で加工されているのである。


「良いから装備してくれ! そしてお前が今日から最強だ!」


 睡眠的な意味で、とは心の中で思ったが羊には筒抜けだったようで。


「スイミンヲシハイスルカ、ワルクナイ」


 首輪を身に着け、俺に無限に伸びていくリードを持たれながら意気揚々とアンデッドゴリラへとその力を開放する。


「メェェェェェ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ