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167.ラストダンジョン(13)

 ガンッ、と鋼同士がぶつかったような音が響き渡る。

 想像以上に重い一撃に、間違いなく相手はプレイヤーだと確信する。


「へっ、なかなか良い膂力りょりょくじゃねぇか。それに俺の無敵剣で切り裂けない剣とか、何だそれ? 超レア武器か? アァン? お前みたいなのが持つにはもったいねぇ、ナッ!」


 交差していた刃を下げた神姫しんきがバランスを崩しそうになった俺の腹部目掛け足蹴りをしてくる。

 が、飛び越えるように大跳躍すると神姫しんきの頭上を超え背後を取る。


「ルァ!」


 振り向きざまに背後から水平斬りを放つも、神姫しんきの無敵鎧にガンッ、と接触すると同時に勢いが殺された。


「ちっ、身軽な奴め。しかし、そんな縦移動が出来るのか……ふんっ、ふんっ」


 神姫しんきとは距離をとって次の行動を見極めようとしていたら、その場で俺のように跳躍が出来ないかとピョンピョン跳ねだした。


「んー、んー? いや、そんな動きやっぱ無理じゃね? 何だお前、チーターか何かか? くっそ、それなら無敵剣を受け止めれるのも納得がいく」


 確かに色々バグっている事は認めるが、コイツに言われると何だか腹立つな。


「けっ、興醒きょうざめだ興醒きょうざめ、お前死ねよ! ウザイんだよ!」

「ん、珍しく気が合う、なっ!」


 斜めに光大剣を振り下ろすと、今度は受け止める事もせず肩の部分でカッ、と浅い音と共に手ごたえが霧散した。


「たく、一体その武器は何なんだよ、無敵鎧に二度も接触しておいて折れないとか、それもチート武器か? まぁいい、全部奪い取ってやるよ」

「口ばっかし動く奴だな、マジック! ドリルシューターッ!」


 肩の部分に接触していた部分に貫通属性が付与され、このまま一刀両断となるはずだった。


「ちっ、いくらやっても無駄なのによぉ、死に晒せぇ!」


 逆に俺の胸を一突きしようと無敵剣が襲い掛かる。


「マジック! 絶対氷壁ぜったいひょうへき


 襲い来る無敵剣は氷の壁に包まれ、その動きを停止する。

 俺の体へ接触する僅か数センチ手前で止まったことに安堵しつつ、攻撃を諦め後退する。


 レアOPが無い限り体力のマックスは10だ。

 水平斬り、斜め斬り、更にそこからの魔法効果で最低でも三回分の最低ダメージはある、はずだ。

 俺達プレイヤーはどんなに元気でも体力が0になればデスポーンするし、致命傷クリティカルでも一瞬でデスポーンしてしまう。


 故に、後七発回復する前に打ち込めれば神姫しんきをマイルーム送りにしてやれる。


「ったく、スクロールも大量に持ってやがるのか、ウザイな本当に。まぁ俺には一ミリもダメージ与えれてないけどな、残念だったな! ハハハハハッ」


 何だかんだ言いながらも、こいつ楽しんでやがる。

 しかし、どうやって倒す? 方法は無数に思いつくが、こんな奴でも同郷の奴であって……。


「ハハハッ……ハッ」


 突如、キンッと音と共に氷柱が生成されると神姫しんきが氷漬けにされていた。

 更に。


「ンッ!」


 大斧を思いっきり振りかぶり、ザンッと氷に一閃いっせんが走ると神姫の首元がスゥと横にずれバリンッと大音を立てて氷が砕けた。


「もう、遅い」

「何かコイツ見てたらイライラしてきたからしょうがないね。何が無敵だよ、首元とか急所がガラアキでよくもまぁ偉そうに喋ってたなぁ、オラァ!」


 何かクーコとギードがぷんぷんと怒りながら才神神姫さいがみしんきをデスポーンさせていた。


「いや、二人とも? 俺は危険だからさがっててと」

「たかが数日の祈願者に、負けるわけがない」

「そうだぞ? 私達みたいな古参祈願者があんな奴に負けるわけがないんだよ」


 ええー。

 いや、確かにプロゲーマーでも攻略出来ないような理不尽なボスの貴方達あなたたちだけど、ええー。


「まぁ、うん。とりあえずありがとう?」

「任せて」

「もっと頼ってくれてもいいんだぜ? 最後は私の魅力にいつでもヤらせてくださいってすがりつくだろうしな!」

「しねぇよ。ヤらねぇよ!」


 うん、第四階層突破のようで次の階層への扉が出現している。

 普通、強敵でも仲間になったら弱体化するよなぁ、それがお約束だよなぁ?

 ……認めよう、二人とも現役のボス級並みだと。


「馬鹿言ってないで、次行くぞ!」

「うん」

「おう」


 思っていた展開と違ったが、またいつか才神とは会えるかもしれない。

 その時は、ゲーマー同士として語り合えれば良いな。


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