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159.ラストダンジョン(5)

「ふぅ、そろそろお開きにするか」


 俺の一声に、皆も暴飲暴食を堪能した面々は軽く頷いて見せた。

 

 最初は皆仲良くしてくれるか心配ではあったが、話のタネは各々の祈願がいかに素晴らしいものだったか自慢する場になっていき、久方ぶりに語り合えたことに満足げな表情だった。


「ん、戻って良いんだよ? ここはヘルダンジョン、今でこそ安全確保してわいわいとしてるけど、この先は命の保証は出来ないよ?」


 良OPで固めていようが、俺だって何回デスポーンするかわかったものじゃない。

 死ぬ感覚は正直何度体験しても慣れないから、極力死なないようにはするけど祈願者達はそうも言ってられない。彼らは封印された存在なだけで、本質は人間なのだから。


「あぁ、でも僕は解っちゃったから」


 アウトが言う。そしてとととが続く。


「俺も何となーく、解ったわ」


 だから、一体何だよ?


「何本気でわかりませーんて顔してんの? 理由は知らんけど、姫さんもマルムも居なくて、あんた無茶してるやろ? たった『独り』で攻略出来る程、この場所は甘くないで?」

「あっ、ミミコさんそれはあまりにもストレート過ぎじゃないですか? ほら、もうちょっとオブラートに包んで」

「ジュエル、あなたは甘すぎ。かき氷にたっぷりシロップぶっかけたくらい甘い。あいつは無自覚」

「練乳をぶっかけたかき氷、筋肉疲労によさそうだな」


 おいやめろマッスル。クーコも何か言い返せよ。


「まぁワシとしちゃあ、試し斬りしてくれるお前さんに引きこもられちゃ面白くないしな」

「私も、いつまでも誰よりも強いお前でいて欲しい!」


 ソドミ、ギード。お前たち……は自分の欲望に忠実なだけだなおいっ!


「お前たち、俺のために?」

「正直、俺達って呪われた存在だから祈願した一日に全ての願い事は叶え終えているんだよな。でも、封印されてダンジョンの奥底で独り、ずっと奇跡の力を持て余し誰にも自慢することなく一生が、永遠が過ぎ去っていくのかと思ってたんだわ」

「だよな。アウトの言うように、俺達ってやっぱ独りじゃ願い事を叶える力があったところで自慢できねーってのがつれーんだわ……今みたいに、こう、皆と入れる時間を失ってたんだなってさ」


 おい、何だよこの空気。

 俺はただ皆とBBQ食おうと思っただけで。


「俺もこの筋肉自慢が久方ぶりに出来たのには感謝している。だから勝手に俺はお前に恩を返す」


 やだ何マッスルさん、あなたこの中じゃ一番最初に乙りそうな祈願者ナンデスヨ?


「まぁそういう事だわ。ここから先は私達皆でサポートさせてもらうからね、心配しなくても強敵をバッサバッサ倒していってあげるわ」


 ギード、あんたは頼りにしている。

 が、それに同意するように他の面子も頷いている辺り他力本願がメインのようだ。


 まぁ普段は俺とマルム、それに姫の三人攻略だったしこれはこれで悪くないか。


「わかった。命の保証はしないし、リスクがある場合は容赦なく見捨てるからな? 後はお前たちの覚悟、みせてもらうよ」


 第二階層は、未だ次の階層への扉が姿を現していない。

 俺達は歩み出す。

 第三階層へ続く扉を探し、ただひたすらに。

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