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152.スナイパーズ(4)

 挑発をするかのように、両手で握った大剣を翼のようにパタパタさせてみせるアンジェリカに、私は一切の加減をせず迫る。


 ダッ、と踏み込んだ足元の木床きどこがピシッと音を立て割れると同時に私は相手の胸元まで飛び込んだ。


「ふぁ」


 紅潮こうちょうさせた表情も打ち抜いてやろうと、スナイパーライフルを顎へ下から突き上げると、トリガーにかけた指を引き抜く。


「あぶっ」


 首を横に倒し私の必中必殺を回避したアンジェリカは、その場で半回転して大剣で切りかかってくる。

 一撃で仕留めれなかったが、私も負けずと襲い掛かる大剣にクイックショットで合わせ大剣を砕く勢いで打ち抜く。


 ギャンッ、と耳が馬鹿になりそうな暴力的な音が響くと、私は反動を利用して後転しながら距離を取る。が、休む間もなく更に後方へ跳躍する。


 ザンッ、と私が後転した着地点に投擲された大剣がえらく低い角度で突き刺さっていた。


「あらっ、残念。次は拳で楽しもうかしら」


 喋る余裕があるって事は、現状私の行動に危機感を感じていないという事だろう。

 だがしかし、遠距離対策OPがあったところでゼロ距離射撃は回避行動を取らなければいけない事は分かった。


 ならば、残り8発の内一発でも打ち込めれば勝ち。

 だが、無駄弾も使いたくないし。


「うぅん、やな相手ね」

「私はとーっても楽しいわよ? ほら、全力で」


 アンジェリカが舌なめずりをしたタイミングで、ガンッ、とアンジェリカの頭をドツく男が現れた。

 またしてもいつ現れたのか全く理解出来なかった。


「こら、アンジェリカ。全力は禁止って約束だろう! せっかくの客人を傷物にするつもりか!」

「まっ、マスター! でも、私が最初に見つけたから私のモノだって!」

『ゴツンッ』


 うわぁ、痛そう。


「いったぁぃ、ごめんなさいだよぉ。だから拳骨げんこつはやめてぇ」

『ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ』

「あひぃぃぃ」

「すまなかったな、嬢ちゃん。そっちで覗いてる嬢ちゃんも安心して戻ってきな。なぁに、とってくったりしやしねぇよ。ただ、ちょーっくら遊んでくれればいいだけだからよぉ?」


「えっと、危害を加える訳じゃない、と?」

「あーうーん、まぁ寸止めルールもありだし、そう思ってくれて構わねぇ。まぁゆっくりしてけや」


 アンジェリカよりもさらに一回り小さな男の子が無垢な笑みを見せそういうと、儚夢アネモネさんも警戒を解いたのか店内に戻ってきていた。


「いやぁ、驚いたよ。そんなガバガバな立ち回りであの動き、その上遠距離攻撃は俺達でも真似できねぇレベル域にいやがる。勿体ない、滅茶苦茶勿体ない! なぁ、技術を学んでいかないかい? 主に俺達が楽しみたいだけって理由なんだがよぉ!」


 儚夢アネモネさんと顔を見合わせると、情報収集の一環として再び席に座りなおすことにした。

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