148.とろろ昆布クエスト(7)
絶望に表情を歪ませ、私の胸元は抉られるようにナイフが突き刺さる。
「っかはっ、ハウルッ!」
被弾した瞬間に肺から吐き出された酸素が私に声を発する事を許した。
かすれていても、ハウルはしっかりと私の声を聞き届ける。
『姫、おもいっきり行くぞ!』
ナイフは私の体を貫通することなく、鈍く思い打撃ダメージとして私の体を大きく後方に吹き飛ばす。
3メートル以上は吹き飛んだだろう飛距離を記録し、私の体は地面をゴミのように転がった。
「ちぃ、胸に何か詰めてるのか? 硬い奴め!」
何故だろう、胸が鉄壁だと言われたきがしたよ?
『姫、準備完了だ、マジック!』
ゴロゴロ転がる勢いが衰えることなく、私の体は大きくバウンドすると不自然に体が宙に浮き、そのままの勢いで母船へと吸い込まれるように空高く舞い上がった。
「くそっ、逃げんなカモがぁぁぁ!」
罵声が飛ぶも、未だ状態異常の麻痺は解けていないので何も言い返すことも出来ずただひたすらにハウルが発動させた密着の力に導かれるがままに居るべき場所へと舞い戻っていった。
まさかPKされかけるとは想いもしなかった。
これは迂闊な行動は出来ないし、この場所をもっと大切にしていく必要があるのじゃないか。
そう私は思考しながら帰還を果たした。