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145.とろろ昆布クエスト(4)

「あの、すみません……」


 声がどんどん小さくなり、すみませんのせんって言葉なんかほぼかすれて音となって出てなかった。ホテルのフロントに話しかけるとか、そういうのはメンバーの魔王咲まおさきやリーダーがやってくれるから、こういうのは慣れていないのだ。


 いや、むしろ苦手なのだからしょうがない。


 コンビニのおっちゃんさん? アレは何かコンビニ的なノリっていうか。

 流石にコンビニで恥ずかしくて買い物出来ない程箱入り娘じゃないからね。


「はい、何でしょうか?」


 やや身長の低い男性スタッフがスマイル満点で受け答えしてくれる。

 現実リアルだったら間違いなくお持ち帰りされてるね、この男の子は!


「……」

「あの? どうかしましたか?」

「……はっ、あのっ、すみません!」

「はい、何でしょうか」


 繰り返しすみませんと尋ねてしまうのは日本人の悪い癖だね。私だけじゃないよね、一般的だよね?


「あの……」


 そこまで声に出して、ホテルパニッシャーの息子さんの名前って何? と疑問符を浮かべてしまう。


「ははっ、とろ様って可愛いですね」

「っっ!?」


 突然スマイルからのこの台詞に、思わず体の奥底からポカポカと体温の上昇を感じてしまう。

 やだ、顔赤くなってないよね。


「オーナー代理をお探しですよね? このキーをお持ちください」


 スッとカウンターに出されたカード形式の鍵には、5021号と記載されていた。


「えっと、その」

「どうぞ(にっこり)」

「あの、ありがとう」


 やや奪い取るが如くササッとカードキーを手に取ると、ごゆっくりどうぞと声を掛けられる。

 何故私の目的を知っていたのか、ちょっと不気味ではあったがこれくらいサクサク物事が進んでくれるのはありがたい。


 3機並ぶエレベータのうち、左側のエレベーターが扉を開き待機していたので乗り込んだ。

 機械的な閉口へいこうではなく、やけになめらかにガラスの扉が閉まるとふわり、と落下感を感じると、気が付けばみるみる内にエレベーターは上昇していった。


『こういうところ、本当に地球のよりも進んでる気がするわよねぇ』

『姫、この技術を持ち帰って一攫千金を狙おう』

『馬鹿、面白くないジョークは何の慰めにもなんないわよ』

『むぅ』


 扉が開くと、最上階には手前に5001号、次に5010号、廊下の反対側には5002号、5020号とあり、通路の一番奥には5021号の扉が控えていた。


 ん、通路長すぎやしませんか?

 ざっと50mはありそうな気がするけど。目測なので正確な距離は定かではないが、何だかラスボスの部屋って感じがうーん何とも。


 まっ、今の体ならこの距離感もあっという間の移動な訳で。


「カードキーって、どうやって使うんだろう」


 私の知識はそこから足りていなかった。

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