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138.絶望の壁(3)

 目標がただただ巨大化を続ける星というだけで、反撃など何も無くひたすら主砲を打ち込む作業が続く。

 見聞きしただけだと何このヌルゲーとか思われそうだが、実のところ戦況は芳しくない。


LiLy(リリィ)宇宙眼見ソラガンミでみたデータ共有! 早く!」

LESS(そうたいちょう)、魔力の管理が追いつかん!」

「焦るな、間違いなく効いている!」


 総隊長とLiLyのログをみて、ジリジリと集中力が低下している自分がわかる。

 私でこれだ、他の面子は……いや、仮にも皆プロだ、これぐらいでヘバルたまじゃないね。


 作戦開始から五時間が経過して、現実では23時を回ったところだ。

 夕食を食べ、それから挑んだものの現時点では全く240リミットの脅威が衰える様子は無い。


「忌々しい壁だね」


 大地かべに向かい魔力を回復させるたびに主砲を打ち込む作業を繰り返す。

 魔力管理は一発につきスクロールマジックの発動、主砲の発動と2点ずつ消耗する為、3発打ち込めばひたすら回復させるというパターンをとっている。

 魔力を2残すのは、イレギュラーに備えるという意味合いである。


 回復手段はそれぞれに任せるしかなかったが、それなりに効率的に打ち込めているとは思う。

 しかし、LiLyの撮影した状況スクリーンショットを見ると、指揮が凹んでしまうのもわからなくもない。


 時間逆行の効果で地形がみるみるうちに収縮を始めるも、時間逆行なんてなかったかのような速度で大地が肥大化していくのだ。

 効果範囲外にんしきがいの影響が色強く出る為、LiLyは攻撃を止め視野の拡張を行っていた。


「この周辺、マッピング終わりました!」

「よくやった! 単鳥たんどりぃ、とろろ昆布こんぶ、ポイント移動、新規箇所を潰していってくれ」

「「お任せ!」」


 当初陣形で範囲の効率化をはかっていたが、現場の様々な意見が作戦開始30分で動き、今のような認識マッピングからの攻撃という流れに変わっていた。

 しかしLiLyの奇跡は本人しか扱えず、効率が完全に良いとは言い切れず五艦隊による別部隊で右へ右へと展開していった。


 逆に個人でもある程度認識力がある面子が左へと展開し、当初の作戦を引き継いだ形となっていた。


 一体いつまでこの作業を続けなければいけないのだろうか。


『菜茶、予想では後235時間は必要という計算が出た』

『ハウル、あんたは少し考えるってことを覚えなさい?』


 嫌な数値を聞いてしまった。

 各員が送るSSの情報を元に、解像度の高いものから低いものまで込み込みで収縮しているアレは10日もあれば完全消滅できるらしい。


『長くても後3時間、いや2時間で片づけるロジックを考えてから発言しなさい!』

『くっ……我のCPUがうなるぜ』

『いらない事にリソースさかない! 私達の精神と体力は有限なんだからね?』

了解ヤー


 ったく。他の面子が誰も騒いでいないって事は考えぬいた結果を私にだけ伝えたのだろう。

 ここまで退屈で絶望的な作業ゲーなんて、私は嫌いだ。

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