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128.奇跡艦隊(6)

 空調が効いているホールで本当に良かったと思う。

 今は全メンバー、作戦会議を始めるとして設置された椅子(マネージャーが全部手配した)に座り、私の第一声をわなわなと待っているところである。

 桜井には直接話をしたが、他のメンバーには空銃を渡して回りつつ、各ハウルにサポートをするように指示するのみで終わっていたのだ。


「皆、現状は理解出来たかね? 私が抱いている危機感が少しでも共有できたならうれしく思うよ」


 みんなだんまりである。

 理解したくない事実を、あってはならない事実を理解しようとするのは、誰だって難しい。

 ただ、ゲーマーを除いては。


 私達は皆、理不尽だろうと何だろうと攻略するために抜け道(バグ)を探して、技術を高め、どこまでも終わりのない完全攻略を目指すのだから。


「おっと、少し思いふけってしまったね」

「いや、菜茶さん? その後ろにあるのは何でしょうか?」


 改まった声を上げたのはAI君だ。

 後ろにある物? そりゃ決まっているじゃないか。


「AI君は料理はしないのかな? これはカレーを作る為のセットさ!」

「「「いやいやいやいや」」」


 誰かが思わず突っ込みを入れている。

 いや、一人だけ流暢なハスキーボイスで突っ込みを入れるCCCの声がひときわ目立っていた気もするが。いつのまに突っ込みを覚えたのだろうかね。


何故故なぜゆえに素材のままか、問おうかマイティ」


 LESS(レス)が疑問の声を発するので、しょうがないから説明するとしよう。


「これは私からの真剣あそび勝負の一つかしらね? 世界共通で楽しめる味、カレーを作ってもらうわ!(どどん)」

「なっ、こんな時にそんな事を言っている場合ですかっ!?」


 冷静そうな魔王咲まおさきがまっさきに反論を出しそうになる。

 が。


「こういう時だからこそ、だよ? そうだね、皆ポイントは1を所持して、一番好きなカレーを作った人いに投票してほしい。そうだな、時間は煮込み込みで8時間、三人一組で作ってもらおうか。ちなみに私は先に作っておいたので続けてのカレーになって申し訳ないが、これで一食まかなって欲しい」


 予め作っておいたカレーライスを皆に振舞う。

 一つの寸胴ずんどうには和だしベースのスープカレーに、チキンと野菜をベースに作ったシンプルなカレーだ。

 そしてもう一つ用意した寸胴ずんどうにも同じく和だしベースのスープカレーに、クルミと野菜ベースの代わり種である。


「好きなだけ食べて、制作に入ってくれ。ああ、ちなみに8時間後にアメリカ代表よりカタリナ・ホワイト率いるレース軍団16名と、ドクタータクトが駆けつけてくれる。後は天文学者の曄華ハナハナ教授と、ハウルの生みの親、ドイツのLuca(ルカ)に、国を支える最先端の技術支援者達百名か。内訳も聞くかい? と、言ってあげたいところだが、時間がかかるからね。この全員を賄えるよう、私達22名に加え、117人の増員で139人前の食事を用意してもらうよ。七組出来る計算だからね、一組あたり20食分は最低作っておいておくれよ? その後からは専属の料理人も呼んでいるから料理を作らなきゃ、とか気にしなくて良いので」


 ふぅ、説明終わりっと。

 勿論、これには意味がある。


菜茶なちゃ、今しがた皆への補足も完了した』

『あんた、私の意図を読んでからの仕事早すぎ』


 この料理造りは交流を深める意味と、指揮官クラスにふさわしい人物のあぶり出しだ。

 勿論、ハウルはそういう意味があるのだと、何かしらの言い回しをして伝えたのだろうがそこまでは私も把握していない。素直に、補足の完了をしたという結果だけを受け取っておく。


 付け焼刃でも、艦隊戦をやるからにはチームプレイとなる訳だから。


菜茶なちゃ、別にカレー作りじゃなくてもゲームのトーナメント戦でもしたらよかったんじゃないか』


 とか言われても、私は知らぬ顔で今回の企画を突き通した。

 まぁ私達は料理人ではなくプロゲーマーなわけで、どんな悲惨な寸胴があったかとかは割愛しよう。

 こうして作戦会議ほんとうのかいぎは後半戦とへ突入する。

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