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117.プロゲーマー達の挑戦(2)

 聞いていたイメージと随分と違う風景が目の前に広がる。


「これがVRの世界……?」

「凄いですね、リーダー」


 ぶわっ、と汗がにじみ出る。肌がチリチリと太陽の光を浴び焼ける感覚に襲われる。


「何もない、ね」

「はい、何も無いですね」


 茫然と『砂漠』のど真ん中で立ち尽くす私達は空を見上げていた。

 サンサンと輝く太陽は、直に見れない程に眩しく汗が噴き出て止まらない感覚に不快感すら覚える程だ。


『データベースに情報も報告も無し、完全に新種のダンジョンですね』


 キャラクターエディットは意味が無いと、ハウルの説明を受けた私たちは性別だけ選んだデフォルトキャラを使っている。どうも、第二階層に突入するとアバターが強制的に変更させられるのがヘルダンジョンの特徴の一つなそうだ。


 だが、こんな偽りの体でも没入感からまるで本当に自分が汗をだらだらと垂らしているように感じてしまい、自己嫌悪に陥りそうだ。


 私、臭くないよね?


「リーダー、あそこ」


 切り込み隊長をやっているだけあり、既に探索を開始した魔王咲は足場の悪い砂漠をもくもくと進みだしていた。そして指さす先を目を細め視認する。


「あれって、敵かしら?」

『はい、あれは敵に分類されますね。基本的にすべてに攻撃判定があるので注意してください』


 転送中に聞いた話だと、攻撃判定が入ると最低ダメージの1が減る被弾扱いになるとの事だが、抜け道もあるらしい。

 技術介入による、判定を覆す方法はいくつかあるようだけど、相手の攻撃を相殺かつ上回れば一方的なこちら側の攻撃判定を与える事も可能だとか。


 まっ、そんな方法なんて簡単にとれないだろうけども。


「あのサソリ、でかくないですか?」

「どうしようリーダー、アレに勝てるイメージが無い」


 初期武器も無い状態で、あんな巨大なサソリの尻尾で迫られたら一瞬でおつるだろう。


「やり過ごせないかしら?」

「いや、ちょっとずつ近づいてきてる!」


 私たちはアイコンタクト一つで、背を向け一気に逃げ出す。

 が、足場が悪く障害物も無い砂漠の真ん中では圧倒的な不利だった。


 開始1分と数十秒。

 第一階層で私達二人は早速最初の全滅を迎えた。



 マイルームに降り立った私たちは、一度ログアウトして現実内で顔を合わせる。


「このゲーム、ヤバいですねリーダー」

「……ふふ、まずは作戦会議ブリーフィングよ」


 私の悪い癖だ。

 ゲームは勝つことにこそ意味があり、負けたら倍返しにするまで粘着してでも攻略の道を探し出す。


 それが私達プロゲーマーの性なのだから。

 あの太くて硬い針で貫かれた痛み(ペナルティ)、必ず倍返しにしてやる……。

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