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114.240リミットの脅威(7)

 国際会議場ビックサイト東第七ホール。

 ひし形で構成されたホールは11,680㎡という広大さを持ちつつ、真夏の熱気を感じさせない程に完備されたエアコン制御により快適温度である。


 主催者事務室に入ると、マネージャーが冷たい麦茶片手に出迎えてくれた。


「菜茶さん、そこに資料まとめときましたんで」


 麦茶を飲みながら、チラリとホワイトボードに目を向ける。


『FPS枠より以下が参加。

 日本代表チームのHotGirls(ホットガールズ)より、リーダーのクレナイを筆頭に切り込み隊長の魔王咲まおさき、メディックの升緒マスオ、陽動(奇抜な動き)のとろろ昆布こんぶ、超近距離スナイパーのLiLy(リリィ)、スナイパーの儚夢アネモネ

 女性6名構成。

 TODONATION(トウドウネイション)より、リーダーの桜井一成さくらいいっせいたまご単鳥たんどりぃ箱点はこてんの男性4名が来ている』


『アメリカ代表チームのSayYeah!(セイヤァ)から、リーダーのNoah(ノア)、その奥さんのEmmaエマの二人が駆けつけてきてくれている』


『格闘ゲーム枠より、以下が参加。

 日本人より、現在ランキング1位の原梅はらうめ

 ランキング2位のマッポン。

 とんでランキング113位の女子高校生プロゲーマーAI。

 さらにとんでランキング490位の里氏さとしの4名』


『続いて中国より、賞金ランキング1位に輝いている女子格闘プロゲーマーのジャン・チュン。

 同チームのジェ・ジェン。

 二人とも女子大生で、チャイナドレスを着ていて体の美しいラインが……』


 お腹に最近少し肉がついてきたな、と思わずぷにっとつまんでしまう。


『ベルギーより、123位のコスプレ大好き男性プレイヤーのCCC(シースリー)

『カナダより、165位の男性プロゲーマ、LESS(レス)


 格闘ゲームからはこの8名。


 残念ながらこの20名しか集まっていなかった。


「おい、少なくないか?」

「菜茶さん? 20人『も』集めたんですよ!? それも実力者ばかり。この時期、大会で忙しかったりオフで連絡とれなかったり、海外組みなんて急遽日本に駆けつけてくれた人もいるんですから! 後は日本に大会で来ていたジャンとジェや旅行出来てた人(CCC)を必死につかまえたんですからね!? わかります!? ねぇ、ねぇ!?」

「わかった、わかったから顔が近い、おい!」


 唾が直接かかっていることをいとわず、ググッと顔を寄せるマネージャーをなだめながら私たちは集まっている第7ホールへと移動した。


「「「おおおおおおおお!」」」

「「「Ohaaaaaa!」」」


 等、私を見た彼らは歓喜の声を上げる。


「お久しぶりです、阿賀沙蛇あかさたさん!」

「久しぶりだね原ちゃん。元気そうで何よりだ」

「一体こんな時期にこんな場所借りきって、何事ですか? 突然の呼び出しで焦りましたよ」

「まぁそこに用意した椅子ゲーミングチェアーにでも腰かけてくれ、説明をスグにでも始める」


 ちなみにだが、原梅のように1位プレイヤーはGOD(ゴッド)と呼ばれることがあり、私は総合1位という立ち位置でAlmighty(オールマイティ)と呼ばれる。愛称としてマイティと呼ばれるのがほぼほぼだが。

 そんなマイティとゴッドの会話を静かに見守り、私の説明を待っている。


「皆、今日は良く集まってくれた。

 試合のシーズン中だったり、オフを堪能していたり、突然で本当に申し訳なく思っている。

 が、前置きはコレで終わりだ。

 240リミットの脅威を、君たちは聞いたことがあるかね?」


 腕を組み、日本語で語り掛ける。

 私とマネージャ込みの、たった22人しかいないホール内に私の声量は十二分に響き渡る。

 それだけ本気で、通る声で問いかけていた。


 だがしかし、誰一人として反応は無い。

 それが普通だろう。

 逆を返せば、まだ誰一人として現状を把握出来て居なことに違いなかった。

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