111.240リミットの脅威(4)
全身が一度溶かされるような感覚に陥り、しばらくすると眠りから覚めるような感覚で視界が開かれた。
「ここ、はルバーの部屋だな」
『有無、前回ログアウトした場所のままだ、菜茶』
アイテムがごちゃごちゃしてきたからマイルームに戻りたかったが、ヘルダンジョンに入ってしまうとどうもログアウトはその場で放置という扱いらしい。
現に隣でAI君もスヤァと眠っている。
「拾ったアイテムを持ち帰らさないつもりかねぇ」
『菜茶、ローブがボロボロになっているぞ』
言われて気が付く。
寝転がっているが、視線を下げるとローブが胸元あたりがグシャリとしわくちゃになっている。
「はぁ、防具が全滅って」
流石にボロボロの服を着ているわけにもいかず、とりあえずローブを脱ごうと、手をかけたくしあげたところで。
「調子はどうだぁ、、、お、おぉ。失礼した」
「おい待てルバー」
部屋の扉をソッと閉じようとしたところに、瞬時に移動して足を挟んで見せる。
「別に今更下着みられたくらいじゃ何も言わないさ。それより」
「そ、そういったって!」
確かに見られたとわかっていても、途中で恥じらい隠すリアクションなど取るほど乙女を演じる年でもない。凄く恥ずかしいけど。
「なぁ、私は服が欲しいのだが」
「……わかった、わかったから少しは隠してくれ!」
言われ、初めて下着姿の自身を目視した。
「ふむ、何も穿いてないじゃないか」
「なっ、何おちついてるんだよっ!」
「キ……」
「キ?」
「キャァアアアアアアアアア」
「ヴァアアアアアアアアア」
渾身の拳がルバーの体を吹き飛ばす。
すまん、流石に恥ずかしかった。
そんなどうでも良い時間から数時間後。
「今度こそ死んだかと思ったぜ、それにしても似合うなおい」
「悪かったと言っているだろう? 私達は部屋を借りた、私はルバーを部屋まで連れ帰った。それでイーブンだ……ありがとう」
容姿を褒められたことに少し照れ隠しにまくしたててしまった。
「まぁ無駄な時間を使った訳だが、私はこれからお城へ行くよ。調べたいことがあるんだ」
「ん、なら俺も付いていくぜ」
「いや、別に……」
「いーや、俺は一生あんたについていくぜ? いや、こんな態度はやめるべきか。イクラ様」
「やめろやめろ。今までのままで良いからそんな気持ち悪い態度はとるな」
「だよな、俺もそう思ったから今まで通りで、な」
現実で見つかった星の形、あの部屋でみた光景とソックリだったんだよ。
今すぐにでも確かめなきゃ……。
私の悪い予感ってのは、当たっちまうからこそ即行動が大事だと知っているのだから。