101.銃之支配を奪い取れ(17)
「呑まれた? えっ、何、イベント?」
「ッカァー! アイちゃんだっけ? お宅も何も知らないのなぁ、ダハァ、慌てても時すでに遅し、ってな。説明するから少し座って休息でもとろうぜ」
どうやら本当に何かが起きた事による揺れだったようだ。
内心会話系イベントは時間がある時に楽しみたいのだが、ここまで来たからにはしょうがない。
「そうね、休息は大変重要だと思うわ」
私のこの言葉を発した時、私だけに聞こえていた音楽が鳴りやむ。
ジュピターは良い曲過ぎて何度聞いても飽きないわね、とそんな事を考えながら座り込む。
「じゃ、急がないようだしちょっとリアル休憩取るわね」
「あーっ、私もぐじょぐじょのままは嫌だしシャワー浴びてくる!」
「えっ、おいっ、ナァァァ!?」
ナァァァ↑と、耳障り悲鳴を聞きながら私たちはログアウトをした。
現実に戻った私は、テレビのある部屋へと移動していた。
「ふふ、このドラマの再放送を見逃さない訳にはいかないわよね」
私は古い時代のドラマが好きである、故に“I’m broke”の再放送を見逃すわけにはいかないのだ。
1時間の休憩の後、じっくり攻略に戻ろう。
「もしかしたらAI君があっさり終わらせてしまうかもしれないしね」
『菜茶、独り言が加速しているぞ、おいっ、菜茶、何故私を置いていく! おい、ぉーぃ、ォ……』
ハウルめ、私のプライベートにまで進出するつもりか? 残念だったな、私は今忙しい!
1時間後、次回予告まで堪能した私は再び没入すると、ルバーが第四階層のど真ん中で眠った二人を守るのがどんだけ大変だったかという話が未だ戻らぬAI君が戻るまで延々と続いて、ほんのちょっぴりだけど悪いことをしたかな?
「はいはい、わかったから、そんな顔しなさんなって」
何故かNPCであるルバーを慰めながら、呑み込まれたの意味を先に聞く私はお人よしなのだろうかね。
丁度説明が終わるタイミングで戻ってくるAI君のタイミングときたら、一種のカリスマを覚えた瞬間だったね。
「お待たせ―。話は終わった? もう行く?」
私以上に会話系を聞かない子ね。
まぁ格闘ゲームが専門だからしょうがないか。