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ペナルティ

作者: 伊達邦彦

ペナルティ


藤崎大治郎は、中央高速道を山梨から東京に向かっていた。

週末だったが、深夜のためか高速道は、比較的空いている。

一代で事業を起こし、成功者と言えるだろう。社員300人の建設会社の他に、山梨にワイン園も経営していた。都内10店舗を数えるレストランも繁盛している。

深夜の大型トラックがよろめきながら、彼の運転するクラウンに接触し、路肩にめり込ませて一瞬でスクラップにしても、トラックの運転手は、意識がなかった。心臓に持病があり、トラック運転手は、心停止していたのだった。藤崎大治郎は、即死したのである。



光りのアーチが見えた。夢なのか?

厳つい顔の老人が手まねいているのである。

光りのアーチを抜けると、緑が眩しい初夏の避暑地のような場所に、彼はいた。

「君は、死んだのじゃよ」

声がした方を見ると、先ほどの老人が、にこやかに椅子に座り、優雅にテーブルの上からティーカップを口もとに運ぶのが見えた。

「君は、天国界にいる」老人がカップをテーブルにもどす。

記憶は曖昧で、現実味がない。

「 君は、多くの社員を幸せにした。社会に貢献した。また、恵まれない人々も救っている」老人の言葉は、彼の胸に響いてくるようだった。その顔は、オーラが被っているようだ。

「あの……私は、まだやらなければならないことがあります」思いもかけずに、彼は言葉にしていた。

「わかっておる」

老人が指を一本立てる。すると、光りのビームが彼の背中に降りてきたのである。

光りのドームに彼は吸い込まれて行った。

「やり残したことを、為すのじゃ」

遠くから声が聞こえた。

「ペナルティは、肉体がないことじゃ」



彼の意識がその猫に宿った時、彼は不思議な感覚だった。

彼が、生きてる時、母親の暴力から保護された少女がいた。

藤崎大治郎は、保護施設を運営していた。

少女の母親が、少女を連れ去ろうとしていた。彼は、少女を連れ去ろうとする母親に、夢中で飛びかかっていた。職員が何事かと、その場に現れて、そこに頬に引っ掻き傷の女を発見した。


母親は、警察に引き渡され、少女は難を逃れたのだった。母親は、果物ナイフを所持していた。


不思議なのは、現場にナイフで刺された猫がいたことである。まるで少女を助けようと身代りになったみたいだと、人々は首をかしげたのだった。


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