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神様は気まぐれなのか。  作者: いちごだいふく
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第7話 初仕事 前半

僕は寝起きがいい方とはいえない。ひどいときは目を覚ましてから30分もぼーっとしたまま寝転がっていることがある。

そんな僕も今日はバッチリ起きれたわけだが。

自分の腹の上で女の子が座っていれば誰だってそうだろう。

そう、ムスーッとした顔のレンカが座りながらずっとこっちを見ていた。

「寝顔....めっちゃニヤけてた....」

「えっ!?そうだったのか....?」

僕は急いで顔を触って今もニヤけてないかどうか確認してみる。

うん、大丈夫のようだ。よかったよかった。

「あと、寝坊してるよ....2時間くらい....」

なんと。なんと!?

初日から寝坊するとは全くもって情けない。

「うそ、うそ、やばくない!?」

「大丈夫だよ。レーニャさんが準備出来てからでいいって言ってくれたから....」

レーニャさんは相変わらずの天使っぷりを発揮していた。

だが、このままこうしていると給料泥棒になってしまうため、急いで準備を始めることにした。

その時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。

「ハーくん起きたー?」

そう言って入ってきたのは、ギルドの天使ことレーニャさん。

肩の少し下くらいまで伸ばした赤みのある茶髪に、誰が見ても可愛いと認めるくらいのお顔をした人だ。

「ええ、今さっき起きたところです。寝坊してごめんなさい!」

すると彼女は、口に手を当て急にニヤけだした。

「いいんだよ〜。ハーくんのあんなに可愛い寝顔見てたら起こせないもん〜」

なんと。なんと!?

レーニャさんに寝顔を見られたのか!?恥ずかしい....お婿に行けないわ....!

「そ、それなら起こしてくださいよ....。てか、レーニャさんこそニヤけてますよ?」

「えっ、嘘!?そんな顔してたの....?隠してたはずなのになぁ....」

さっきまでの様子とは一変して、あたふたしていた。

何をしてても可愛いんだな、この人は。可愛いは正義ですよね。

「ははは....。そう言えば、朝食はとったんですか?」

「まだ....ハジメと3人で食べようと思ったから」

「てことは、お腹減ってるよね....?」

「うん....でも待つ」

「それじゃダッシュで着替えて準備するから外で待ってて!」

「ここにいちゃダメー?」

レーニャさんが何故か寂しそうに上目遣いで聞いてきた。

普通の状況なら、彼女はただ駄々を捏ねてる女の子だ。でもこの状況だと彼女は、俺の裸を見れなくて寂しそうな顔をしてる女の子ってことだよな。

それなら同情の余地はないだろう。

「ダメです、僕が困ります」

「困らせちゃおっかな....?」

レーニャさんが聞こえるか聞こえないかくらいの音量で何かを呟いていた。悪い予感がするぞ....。

「それじゃ、レーちゃん!外で待ってよっか」

なんとかレーニャさんも分かってくれたようだ。

彼女たちはドアを開けてこの部屋から出ていった。


しばらくして俺も着替えが終わり部屋を出ると、レーニャさんの顔が急に僕の顔に近づいてきた。

少し鼻先が当たっていたので僕は自分の顔が赤らむのを自覚できた。すると....

「わっ!!!!」

レーニャさんが大声をあげた。顔を近付けたのは驚かすためだったのか。それにしても大胆な人だ。

「うわー、ビックリしたー」

「ちょっと、全然驚いてないの!?」

レーニャさんはショックそうな顔をするが当然だろう。可愛すぎて迫力に欠ける。しかも本人はそれを自覚していないのだ。

「驚かすならこんな感じに。うわーっ!!!!」

そう言って僕は、彼女ほどではないが顔を近付けた。

「ビビビビビックリしたぁ!!!」

レーニャさんが思った以上に驚いた反応を見せたので、少しやり過ぎたかなと思う。それでも、朝からとても幸せな時間を過ごせたことに喜びを感じていた。

「こんなことばっかりしててもキリがないですし、食堂に行きましょう」

「うん....食堂のご飯美味しい....」

そう、意外と食堂で出されたご飯は美味しいのだ。トカゲなど出されたらと思うと不安になったのだが、出てきた料理はまともなものばかりだった。味付けも僕たちの舌に合うものばかりだったので、逆に驚いたのものだ。


食事を終えると、温泉の方に集まるようにレーニャさんに言われたので、僕たちは脱衣所の前に集まっていた。

「では、お二人には最初のお仕事をしてもらいましょう!」

「浴槽を洗ったりするんですか?」

「ええ、ハーくんは本当によく分かっていますね。えらいえらい」

唐突にレーニャさんは俺の頭を撫でだした。こうして見ると会ってから2日しか経たないというのに、彼女は近所のお姉さんのように思えた。

僕は彼女に可愛がられてるだけだと自覚しているので、彼女に恋愛感情がないことは分かっている。それでも、少し寂しいものだった。

「僕の家でもやってましたからね。当然ですよ」

「そうなんだ!でも、一応やり方は教えなきゃね。まず、着替えてもらわないと」

着替える?何に着替えるというのだ。

「何に着替えるんですか?」

「水着だよ、濡れてもいいようにね」

なるほど、その手があったか。それにしてもこの世界にも水着があるというとこは、海水浴みたいなことをする風習があるということか。

「それと、まずは男湯から洗うから終わったらまた脱衣所の前に集まってね!」

「「はーい」」

そういうと、僕たちは男性と女性に分かれて脱衣所に入っていった。


この世界と僕らの世界はよく似ている。今までそう思ってきたが、今回ばかりはそう思わなかった。

水着が思ってたのと全く違ったのだ。この世界の水着はまるで、タオルを腰に巻いただけのようなものとなっていた。

つまり、下から覗かれるとは大事なものが丸見えとなってしまうのだ。

水着(仮)が落ちる心配はなさそうだが、それでも気を付けないと僕が変態扱いされることになる。

そしてレンカとレーニャさんのほうを見ると、女性用の水着も僕らの世界のものとは違うように思えた。

見たところ、それは男性用の水着を胸のあたりまで長くしただけのものしい。つまりは、下から覗かれると....。

これはマズイぞ。僕が変態になってしまう確率が急上昇だ。

レーニャさんは天然っぽいので、仮にも彼女がハプニングを起こしてしまえば警察に現行犯逮捕されてしまうかもしれない。

憧れの異世界生活3日目で留置所行きは洒落にならないので、何事も起こらないように願うだけだ。

それでも神様はラッキースケベなら許してくれるのかな....。

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