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神様は気まぐれなのか。  作者: いちごだいふく
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第6話 ギルドを探検してみよう。

レーニャさんの話によると、今日はとりあえずギルドの建物を案内してくれるとのことだったので、僕たちはまずこの建物を囲むとても大きい門の前に集まっていた。

僕たちが来ていた制服はよくも悪くも目立ちすぎるとのことだったので、レーニャさんが僕にはタキシードのような服を。レンカにはメイド服のようなものを貸してくれた。

そして先に着替えを終えた僕が先にレーニャさんの待つ門の前に来たというわけだ。

「うんうん、ハーくんはとっても似合ってるね〜」

レーニャさんはとても嬉しそうに僕の両肩に手を置いて頷いた。

「本当ですか?自信ないです...」

身長もそこまで高くないし、イケメンなわけでもない僕がどう間違えたらこの服を着こなせるというのだ。

「大丈夫、自信持ちなよ!君はイイもの持ってるんだしさっ」

レーニャさんは相変わらず優しすぎる。俺に気を遣うことなんてないのに。お世辞にも褒めてもらえた僕は気を抜くとすぐにニヤけた顔になってしまいそうで気が気でなかった。

そんな感じでニヤけた顔と格闘していると、直にレンカがやって来た。こういう服を着るのは初めてなのか、とても歩きづらそうだったがレンカも頑張っているようだ。僕もニヤけた顔をしないように頑張らねば。

「レーちゃん可愛いよ〜」

確かに、レンカもとても似合っていて可愛い....。それでも、レーニャさんのメイド姿を見てしまうとどうしても霞んでしまっていた。

「いえいえ、レーニャさんと比べると....」

「ううん!そんなことないってば!」

譲り合いの精神を異世界でも目にすることが出来るとは....。やはり、レーニャさんはとても日本人気質なのではと思ってしまう。

「この話はそろそろおいといて、ギルド見学を始めるとしよっか!」

そう言うと彼女はバカみたいにデカい門を指さした。

「まずはこれ!門だよ!」

「見ればわかりますよ、レーニャさん」

ついつい突っ込んでしまったが、何を言いたかったのだろうか。この可愛さに天然属性持ちとなると、もはや反則ではないか....。

「そ、そうだよね、えへへ〜。とにかく、デカいでしょ!?」

「はい....。こんなの初めて見ました....」

レンカも渋々賛同しているという様子だった。にしても、レーニャさんのテンションは下がることを知らないようだ。自身の貴重な時間を使ってるというのに。

「それじゃ、中に入るね」

門の内側にあるスイッチのようなものを押すと門が開く仕組みになっている。このスイッチを押すための門番がいるらしいので、レーニャさんが門番に頼んで門を開けてもらっていた。

門をくぐった先にはお城のようにでかいお屋敷が1つ、そびえ立つだけだった。こんなお屋敷を所有するほどのお偉いさんに拾ってもらえるとは、今思えば本当に幸運だった思う。草原に投げ出すのは流石に可哀想だと、神様が思ったのかもしれないな。

お屋敷の入口を通ると、そこには階段と通路があるだけだった。階段とは言っても、僕たちの良く知る幅の狭い階段とは比べ物にならない。大理石の上にレッドカーペットを敷いており、階段の幅は30mくらいはある気がする。

ここまで来れば、もう驚くこともなくなっていた。

「えっとね、1階の右手の通路を進むとギルドのメンバーの住む寮があるんだよ」

「ギルドのメンバーってことは、依頼をこなす人たちですよね?」

「うんうん、よく分かってるね!そして、左手の通路を進むと私たちみたいな雇われ人の住む寮があるんだよ」

「確か、僕たちが寝かせてもらってた部屋もこちらの寮にあるんでしたっけ。」

「そうなんだよ。雇われ人はギルドのメンバーと比べると人が少ないなら、客室としても良く使われるの」

レーニャさんは一つ一つ丁寧に物事を教えてくれていた。ここの世界を全く知らない僕たちにとっては、本当に助かることだ。

「次は2階を案内するね....」

心なしか、彼女の表情が曇った気がした。でもついさっきまで彼女のテンションはMAXだったので思い過ごしということにしておいた。

レーニャさんが階段を上がった先にある、ポツンと立っている扉を押すとその先には思いも寄らない光景が広がっていた。


酒場に、売店に、カジノに、何かの試合を行うフィールドに。目に映る光景は想像していたものとは全く違った。

「す、すげぇ....遊び放題かよ....」

「そうなんだよね、ウチはマスターが太っ腹だからお金に困る人はほとんどいないの。それを知った商人たちが、お金儲けのためにいろんな施設を建てて稼いでるってわけ」

どこの世界でもお金の匂いを嗅ぎつける連中はいるってわけだ。

「商人のお金儲けのためのものとはいえ、これは素敵ですよね」

「うん....ハーくんもやっぱりそう思うよね....」

さっき違和感を感じた時よりもレーニャさんは目に見えるように落ち込んだような顔をしていた。

「レーニャさん、どうかしたんですか?」

「ううん、なんでもないよ....?」

彼女は無理に笑顔を作って誤魔化しているようだった。どんなことがあっても笑顔を絶やさない。レーニャさんは本当に強い人に思えた。可愛くて優しくて強い、こんな立派な人がこの世にいるとは思えなかった。

とりあえず僕は、気分が悪くなった原因であろう2階から離れようと思い、レーニャさんに声をかけた。

「レーニャさん、他の所も回りたいです」

「うん、わかったよ。次は3階に案内するね」

3階へ上るには、真ん中に建てられたドデカい螺旋階段を使う必要があるようだった。

螺旋階段を登った先には大広間のようなものがあり、大きな噴水が置かれてるだけで他にはなにもなかった。

そして、四方にある扉からはそれぞれ温泉、食堂、トイレ、休憩所があるとレーニャさんから聞いた。


簡単にまとめると、このギルドの建物は3つから成っている。二つの寮と、一つの屋敷。

屋敷の1階には寮への通路があり、2階には遊ぶスペースと依頼を受ける手続きが出来る場所があり、3階には生活をするための場所がある。

そしてどういうわけか、レーニャさんは2階が苦手とのこと。


歩き回ってこの建物の構造をまとめたが、それを可能にするにはとても時間がかかった。何より広いので、歩き回るだけで莫大な時間がかかったのだ。

全て回り終える頃にはすっかり日が沈んでおり、食事の時間になっていた。ギルドのメンバーとは食事の時間がずれており、僕らの方が少しだけ遅いとレーニャさんに教えてもらった。


食事を終えて風呂を済ませ、自由時間になる頃には22時を超えていた。元いた世界とこの世界の時間軸は大差がないらしく、たまたまつけてた腕時計が役に立った。

この世界にも時計のようなものはあるらしいのだが、2階に行く必要がある上に僕たちは読み方を知らないので困っていたのだ。

どうやらこのギルドでは23時には寝る決まりだったので、レーニャさんとちょっぴり話して自分の部屋に戻ることにした。

自分の部屋とは言っても、レンカと相部屋なのだが。

部屋が広すぎると落ち着かないと言う理由で、一緒の部屋で寝かせてとレンカに頼んだところ渋々了承してくれたのだ。

勿論、十分な距離をあけて別々のベッドで寝るという約束だったが。


今日も色々ありすぎて寝付けないかなと思ったのだが、眠気が来るのは案外早かった。きっと、屋敷を歩き回ったのが身体に来たのだろう。引きこもりの身体には中々の負担だからな。

明日からは、働いてもらうとレーニャさんが言っていた。

レーニャさんが一緒なら、どんな仕事も楽しいんだろうな........。

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