死にゆく者へのレクイエム
ひどい人だ、あなたは
こんなにもあっさり逝ってしまうなんて、思いもしなかった
行き場のないわたしに、あなたは何のためらいもなく手を差し伸べてくれた
たったそれだけで、あなたはわたしのすべてだった
あなたのおかげで、わたしは生きていられた
自分も、あなたとともに生きていていいのだと思えた
こんなわたしを1人の人間として扱ってくれるあなたがいたから
わたしは、自分自身に誇りを持てた
あなたが逝ってしまった今となっても、
あなたに対する私の思いが愛なのかはわからない
尊敬や、あこがれに近い気もする
たぶん、わたしが死んでも、あなたの元へはいけないと思う
そんなことを言ったら、きっとあなたは本気で怒るんだ
今だから白状すると、わたしはあなたを困らせるのが好きだった
だって、あなたは最後には必ず笑って許してくれるから
あなたの元にはいけないかもしれない
でももし、あなたの元へ行けたなら、礼を言いたい
ただ一言、ありがとう、と
たった、その一言を伝えたい
それだけ
本当は生きている間に言えればよかった
でも、ひねくれもののわたしは言えなかった
会えるかどうかわからないけど、
あなたとはしばしの別れになると思うことにする
だから、今は泣かないことにする
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
一応、これで簡完結の扱いとなります。単純に、これ以上の詩を書いていないだけですけど。
前のやつは『黄の皇国の女帝』のリーフェイでしたが、今回は書こうと思って挫折したSFの登場人物の独白と思われます。SFはまじでキツいです。いや、ホントに……。