第7話 ★ 俺と妹のご機嫌取り ★
タイトル募集を終了しました。
Mr.Nさんの意見を採用しました。
「ということがあってね。」
俺は美優、芽衣との帰宅途中にある。
そういえば、どうして高校生でもない美優が俺たちと一緒なのか不思議に思うかもしれない。
それは美優の通う中学校は俺の家からの登校するその延長線上にあるためである。
よって、美優はほぼ毎日高校の校門で俺を待っている。
ちなみに芽衣はいつも付いてくるので、必然的に登下校は三人になるのである。
で、今日は二人とも俺の事情を知ったうえで空き教室で待ってくれていたのだ。
だから俺はお詫びの意味でアイスを奢って生徒会での事の顛末を話したわけだが・・・・・・。
「まさか、エロ本読んでるとこを写メられるって・・・・・ププッ」
「笑い事じゃねーよ。」
たまたま誘われて見てしまったことも言ったのだが、何の効力もなかった。
ったく、芽衣のやつ完全に貶してやがる。
「それにしても彰人、よかったじゃない。」
「何が!!」
さっきの生徒会でのことで、ついつい勢いが余ってしまう。
「いや、だってね。右手に私、左手に姫の所謂両手に花の状態じゃない。」
確かに、一般の女の子としては二人とも申し分はない。
けど、さっきの姫のことがあったので、少しムッとした。
「俺の右手には、花が見当たりませんが」
そう言って、俺は額に手を当てながら探すような感じで自分の左側を見る。
予想通り、芽衣さん怒りだしました。
「何よ。私が可愛くないって言うの!?」
んー、可愛いんだけどね。
「ただ」と言って、俺は芽衣の全身をじっくり注視する。
「彰人のエッチ、バカ、変態!!」
芽衣は胸を隠してしゃがみこむ。
大いに誤解である。
別に何も咎められるような見方をしていない。
だが、俺は咄嗟の判断を誤った。
少しキュンとしてしまったせいで、どもってしまう。
「い、いや別にただ」
「兄さん?ちょっとお話をする必要がありそうですね」
美優の目は鋭い眼光を放っていた。
そう言って、美優は俺の腕をガシッと掴んでくる。
もっとも俺より華奢な手をした女の子の手なら躱わすことは簡単なのだが。
彰人は逃れなかった。
(後が大変だからな)
美優は拗ねると非常に厄介なことになる。
過去に何度も美優の「機嫌直し」は馬鹿にならないくらいの体力と精神力がいる・・・・・・というのが、普通のお家事情だろうが、単に俺が妹に甘いだけである。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「美優、頼むから機嫌を直しておくれ。」
俺は必死に懇願する。
放っとけばいいのに。
普通のやつならそういうだろう。
彰人は普通じゃなかった。
ちなみに彰人自身はそれがおかしいということに気づいてはいる。
一方で自分がシスコンだと言われるのには断固対処する。
普通の人は思う。
矛盾してないか、と。
今は夕食時。
テーブルのこちら側に彰人。
向こう側に美優がいる。
余談だが、両親は仕事の関係上で家にいることは滅多にない。
つまり年頃の男女、いや兄妹が同棲している。
ということで、妹の美優が食事を作るのだが。
俺の前に置かれているのはご飯と海苔の二点セットのみ。
そもそもいつもなら狭い思いをするのを百も承知で美優は俺と同じ側の椅子に座ろうとする。
だが、今日は向かいである。
さらにさっきから俺に目を合わせようともしない。
さっきのことに対して、妹君は大層ご立腹だ。
「兄さんは芽衣さんには厭らしい目で見るのに私のことは全然見てくれない。」
美優はとても取り乱した声で言う。
この妹、そもそも実の兄が妹に対してそんな目で見るのはおかしいことに気づいていない。
何でこうなってしまったんだろう。
そう思わずにはいられない。
だが、前から何度も行われていること。
俺は手っ取り早い方法を理解している。
それが妹の性癖を悪化させていることに気づかない彰人。
「わかったよ。どうしたら許してくれる?」
俺はテーブル越しに手を伸ばして美優の頭を撫でる。
美優は頬を赤らめながらトロンとした顔になる。
「・・・・・・ボソボソボソ」
「ん?」
美優が何か呟いたのはわかったが照れて俯いているのに加えて、小さな声だったので聞き取れなかった。
「一緒にお風呂に「ダメだ」」
俺は美優の言葉が言い終わらないうちに遮った。
「ち、小さいときは入ってくれたじゃないですかー。」
美優は抗議する。
「美優、小さいときとは違うんだ。お前はもう大人になりかけてるんだぞ。少しは恥ずかしいと思ってくれ。」
俺は藁に縋る思いで美優を諭す。
美優はそっぽをむいてしまった。
さらに「機嫌直し」に時間が掛かりそうだが、それだけは譲れない。
というか譲れば人間倫理に反してしまう。
「わかりました。」
どうやらわかってくれたらしい。
ホッとする俺。
だがこの後の美優の言葉を聞いてその安堵は吹っ飛んだ。
「寝るとき手を握ってください」
とても、満面の笑みで言ってきた。
俺に反論はできない。(と、彰人は考えている)
「いいよ。寝るときになったらおいで。」
俺がそういうと、ウサギが飛び跳ねるがごとく喜んで風呂場へ駆けていった。
(明日は辛いな・・・・・・)
・・・・・・彰人はとんでもない勘違いをしている。
次話投稿は3月1日午後12時までを予定しています。




