第1話 ★ 俺と妹の朝 ★
読者の皆様へ。
初めまして、koimayuです。
現在この小説はリニューアル中です。
変換ミスや不思議に思われた箇所がありましたらご指摘ください。
それでは「俺恋」スタート!!
んー、何か柔らかいものが自分の上に載ってる、ような気がする。
何だろう?
手が自然とそっちの方に動いていく。
プニュ。
まるでマシュマロだ。
すごい弾力がある。
手はその謎の正体を探りにいく。
モミッ、モミッ。
何かすごい触り心地。
「んふぁ、ふぁん……」
とんでもない声が耳に飛び込んでくる。
おかしい。
すると、上で何かがモゾモゾと動く。
そんなに重たくはない。
いよいよ完全におかしいと感じ始める。
そのとき、ピピピピピッと目覚ましが鳴る。
目が覚める。
目の前にはかわいい顔。
寝ぼけ眼ながら自分の上に何かが載っているのを、認識、する。
この空間の時が止まる。
どうみても、妹の美優である。
美優は俺が起きたことに気づいた。
目が合う。
美優は目覚めには天使に思える笑顔。
「兄さんおはよ」美優の声で時が再び動き出す。
その声でハッと我に返る俺。
慌てて覆いかぶさっている美優の体の下から自分の体を引っ張り出す。
ドシンッ。
そのまま勢い余って俺はベッド脇に落っこちる。
「な、何をやってるんだ」
ひっくり返った状態で問いかける。
「ふふふ。兄さんの慌ててる姿は面白い」
美優はクスクスと笑っている。
「違ーう。何をしてたのかを聞いてるんだ」
一線を越えていないからそこまで怒る気はないけど、少し語調を上げる。
「何って、おはようのキスをし、損ねただけだけど」
平然とした顔でこの妹は人間倫理に反することを言う。
あと憲法か、民法に反してたような。
「あのー、美優さん?何であたかもおはようのキスがさも当然かのように言ってるの?」
「え、何か間違ってる?」
「大いに間違ってる」
美優は大人の女性顔負けの体(服は着ている)を見せ付けるかのようにゆっくりベッドから降りる。
目はそこまで大きくはない。
髪は綺麗な黒で、その髪は腰まできている。
胸は同じ年齢の少女よりは確実に大きい。
確かこの前、Eカップって言っていた。
そして、短パンから出ているスラッとした足は雪のように真っ白。
これらを総合すると、妹は美少女となる。
それどころか、妹のことを指しているとも言える。
実の妹なのだがついつい見惚れてしまう。見惚れない男はおそらく世界中どこを探してもいないだろう。
あの柔らかそうな唇、そして何より顔を埋めたくなるようなあの胸。
俺としてはまさに好みのタイプなんだけどな、と考えてしまう。
そんなときに声をかけられれば、それもこういうことを考えさせてしまうその犯人から声をかけられれば、
「兄さん」
「はぃ!!」
という反応になってしまうのは当然だろう。
「もう少し素直になったら」
「?」
俺には妹が何を言っているのかわからない。
「こんなかわいい妹に目覚めのキスをしてもらえる男の人なんて、そうそういないよ」
わかってしまった。
妹以外の全人類が弁えていることを理解していないことを。
わかりたくもなかったが。
「美優、それはまず前提が間違ってるぞ」
この妹は根本から間違った知識が入っているらしい。
一体、誰がこんな知識を植えつけたのでしょう?
つまり、妹は兄にキスするのは当然だと脳にインプットされているようだ。
「それに、朝起きたら目の前に顔があったら心臓に悪い」
「うっ、ごめんなさい」
美優は素直に謝る。実に素直な妹じゃないか。
諸君はそう思うだろう。
こういうふうに、つまり兄に対して嫌われる、あるいは怒られるような行為をしないように妹は日々学習しようとしている。
諸君は思うだろう、この妹は学ぶことを間違えていると。
だが、この妹は学校での成績は悪くない。
それどころか、学年一の座に入学以来ずっと居座り続けている。
つまり、賢いのだ。
妹を文字で表すなら、才色兼備である。
そんなに賢いのだから、まさか学習能力が低いはずがない。
はずがないのに、こういうことはこれが初めてではない。
このやりとりは過去に何度も繰り返されているのである。
もっと正確に言うと、昨日もあった。
結論、兄に嫌われたくはない。
でも自分の気持ちを重視する。
これが美優だろう。
その当の本人はそのまま俺の部屋のドアに手をかけて振り返る。
「兄さん、早く着替えてきてね」
バタン。
俺の部屋のドアを閉めていく。
美優は1階に下りていく、音がした。
はぁー、何度言ったら聞いてくれるのかと溜め息をつきながらパジャマの上に手をかける。
そのとき。
ガチャッ。
1階に下りていったはずの美優が俺の部屋の開けられたドアの向こうに立っている。
つまり、降りたと見せかける偽装工作を行っていたのである。
思わず絶句してしまう俺。
「・・・・・・何してるんだ」
驚きで身体が動かない。
「兄さん、着替えるの手伝おっか」
妹は最後に♪でもつけるかのように軽やかに言う。
「アホかー!!早く向こう行け」
と俺が怒鳴るとすぐに、
「じゃあ、あとでね」
まったく悪びれた様子もなくクルッと髪をなびかせながら反転して出て行った。
もはや、何も言うべき言葉が見つからない。
・・・・・・俺の妹は変態である。
後書き 新しくなった第2話も3月15日までに投稿します。