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グリスンダークネス  作者: 樹紅葉
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序章

そこはまるで血の海だった。

木材を用いられて作られた食卓に家族の写真。

全て赤い血で染まっていた。


なんでこんなにも赤くなっているのだろうか。


足元を見ると父と母が倒れていた。

「お父さん…お母さん…」

呼んでも返事はない。

なぜこんなことになっているのだろうか。

鏡に映っている自分を見てみると全身が血まみれだった。


一体何がどうなっているのか。


ただ望んだだけなのに。


呆然としていると、ピンポーンとチャイム音が鳴り響いた。

ガチャ、という音がした。こちらの返答を待たずして家の中に誰かが入って来たようだ。

足音がだんだんと近づいてきた。

自分の心臓の脈打つ早さが異常に早くなる。


足音はこの部屋の入口扉の前まで来ていた。

それは扉をゆっくりと開ける。

その扉の方を見てみると、扉からは光がこぼれていた。

扉がだんだんと開くにつれて、光量も多くなっていき、あまりのまぶしさに目を閉じた。



「ん…んう…んはぁっ」

家の家主、南崎賢人(みなみざきけんと)はベッドの上で飛び起きた。


「ハァ…ハァ…。まったく、朝から嫌な夢見ちまったな。」

賢人は立ってハンガーにかかっていた制服を取り着替えた。

カーテンを開けると太陽の光が差し込んできてとっさに目を閉じた。

外はポカポカ陽気に包まれていた。二階のこの的から見てる景色はただの住宅ばかりだ。


まさに平凡だった。

賢人が望んだ生活がここにはあった。

外をぼんやりと眺めていると家の玄関の方から声がしてきた。


「こら賢人、外ぼんやり眺めてる暇があるならさったとでてこい!遅刻するよ!」

「お前はほんと朝からうるせーやつだな。ちょっと綺麗な女の子がいるから眺めてただけだよ。」

「はいはいわかった。そんなこと言ってる暇あるならさっさと学校行くよ!」

「へいへい」


そこには賢人よりも少し小さく、腰まである長い髪が時折風に揺れ動く綺麗な顔をした女性、内海咲(うつみさき)がいた。

高貴な容姿とは裏腹に元気のいい女性だ。

賢人と咲の関係はいわば腐れ縁というやつだ。

賢人はバタバタと階段をかけ降りて外へ出た。


「じゃ、行くか」

「あんたちゃんと朝ごはん食べてるの?」

「俺は朝は食わない主義なの」

「あんたそんなんじゃすぐ体調崩すわよ」

「お前に心配されるなんて俺も終わりだな」

「別に心配してません。自意識過剰はよしてよね。なら、さっさと行くよ!」


そうして二人は学校へと歩みをすすめた。



午前中の授業は終わり昼休みへと突入した。

賢人のお腹がぐぅ〜、という音を立て始めた。

どうやら朝ごはんを抜いてきたことは賢人にとっては大ダメージだったらしい。


「腹へった…。購買でも行くか」

そうして賢人は購買へと行くため教室を出ようとした。

しかし、それは一人の人物によって阻止されてしまう。


「賢人、あんたどこいくの」

「購買にパン買いに行くんだよ」

「あんたそんなんじゃほんと体調崩すわよ。だから今日は…」


咲はからっていたランチバックの中をガサガサとあさり中から巾着袋を取り出して賢人前に差し出してきた。


「これ、今日朝作りすぎたからあんたの分も作ってやったわよ。今日はこれ食べなさい。」

「なんでお前の弁当なんて食わにゃならんのだまったく。パンの方がうまいに決まってる」

「食べてからいいなさいよ!それにお金も浮くでしょ、ほら、た・べ・な・さ・い!」


ものすごい形相で見られたので賢人は思わずその弁当を受け取ってしまう。


「あんたがちゃんと食べるか確認したいから今から屋上で一緒に食べるわよ」

「おいおい、飯ぐらい一人で…」

「早く来なさい!」


賢人は言われるがまま屋上へと行くことになった。


ガチャン、という大きい音を立てながら咲が屋上の扉を開いた。

どうやら屋上には誰もいないらしい。


「じゃ、昼ごはん食べよ。」

「へいへい」


特に話すこともなく数分間二人とも無言でただ黙々と食べ続けていた。

そんな雰囲気に耐えられなくなったのか咲が言葉を発す。


「私の作った弁当はどーよ」

「まぁまぁだな」

「あんたってほんと…まぁいいわ。それより、発作の方は大丈夫なの?起きてないの?」

「おいおい咲、あれはもう十年以上も前のことだぞ。発作なんて全く起きてねーよ。俺ももう高校2年生、大人になったってことさ」

「大人になったことと発作とは全く関係ないから。それとあんたはまだまだガキよ。ま、起きてないならいいんだけど」

「咲、おめー随分と言ってくれるな…。そうだそうだ、発作のことなんて気にすんな」


そこからはまた特に会話もなくただ黙々とご飯を食べ続けるだけであった。

二人ともご飯を食べ終わって賢人が咲に弁当を返したところで予鈴が鳴った。


「じゃ、俺は先に教室に帰ってるぞ」

「うん、私は片付けしてから行く」

そうしていつも通りの昼休みを終えて賢人は教室へと向かうのであった。



午後の授業は軽く流して気づいた時には既に放課後だった。

賢人が鞄の中に教材を突っ込んでいると咲が賢人の方にやってきた。


「ほら、はやくしなさい。帰るわよ」

「お前友達いないのか?いつも俺と帰って楽しいか?」

「うるさいわねまったく。かえってやってるんだからありがたく思いなさい。」

「変な噂たっても俺は一切責任取らねーからな」


賢人は教材をすべて鞄の中に入れ終え鞄を肩にかけ咲と共に学校を出た。


学校を出てから数分したところで二人は横断歩道へと差し掛かった。

歩行者専用の信号機は赤色に光っていた。

無言のままふたりは立ち止まった。二人の前を複数の車が行き交う。


賢人はそれをぼんやりと眺めていた。すると、なぜだか音が遠のいていった。

朝ごはんを抜いてきたのか咲の弁当を食べたのかまたはポカポカ陽気にやられたのかはわからいが賢人は意識がどこかに飛んでいってしまいそうになっていた。


そして完全に意識が途切れる寸前


「あんたなにぼーっとしてんのよ。ほんとアホみたいな顔ね。ほら、信号青だし行くよ」

多少意識は元に戻ったがまだ賢人はぼーっとしていた。


刹那、賢人の耳に劈くような声が響いた。


「賢人!あぶない!!」


歩行者専用の信号は完全に青になっている。それにもかかわらずトラックがスピードを落とす様子を見せずそのまま賢人のほうに向かって直進していた。


明らかに運転手に原因があるとみた咲は咄嗟に運転席に目をやった。

そこには、中年の男が目を閉じて頭を上下に揺らしていた。

居眠り運転だ。


気づいた時にはもう遅く咲の体は勝手に動いていた。

こんな状況に陥っているのにもかかわらずまだぼーっとしている賢人に飛びついた。


ただ飛びついただけでは何も状況は変わらなかった。

トラックのスピードは落ちる様子もなく二人の元に迫っていった。


咲は賢人を両腕でしっかりと掴み目を閉じて小さく何かをつぶやいた。

そうして二人は意識を失った。

はじめまして。樹紅葉(いつきこうよう)と申します。

この小説は私が手掛ける初めての小説となります。

文章力が乏しい為文中に言葉の誤りなどが多々見受けられると思いますが、その時は是非指摘していただけると助かります。

多少勢いで書いてることもあるせいか設定がおかしくなってしまうことがあるかもしれません。

3日に1回は更新する予定なので是非是非読んでください!

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