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〜 戦いの火蓋 〜


大男の強権発動はとりあえず免れたものの、


監督と部員の間にギクシャクとした空気が流れ始めた我が野球部。





しかし野球部としてはとりあえず監督の指導の下で動くことになるわけで・・・





そして、ベンチプレス事件の翌日から指導の名を借りた嫌がらせが始まったわけで・・・





真っ先にそのターゲットになったのは何を隠そう私なわけで・・・。










その日は、前日のゴタゴタもあり何となく重い空気が漂う練習でございました。





まず事が起こったのは、


その順番に大男からイチャモンがついたフリーバッティングの練習中です。





前日のキャプテンの申し入れ通りレギュラーから先に打つ形で進んで


3年生のレギュラーが打ち終わり、


私がバッターボックスに入って打撃練習を始めようとしていると、





「おい、ちょっと待てい。」





それまでパイプ椅子に腰掛けて黙って見ていた大男に呼び止められました。





「はい?」





「お前は2年生じゃないんか?」





「はい、そうです。」





「まだ打っとらん3年生がおるじゃないか。」





大男の言う通りです、フリーバッティングはレギュラーから先に打つのがそれまでの慣例。


私は2年生ですがレギュラーですので、


3年生の控えの先輩よりも先に打つことになるのです。





「はい・・・。」





「じゃあ、お前は後回しじゃないか。」





え・・・?





私が、この大男にどう言えばいいのだろうと考えあぐねていると、


キャプテンの沼田さんが駆け寄ってきて助け舟を出してくれました。





「監督。昨日申し上げて監督も許可してくださったので、


 フリーバッティングの順番は今まで僕たちがやっていた通りでやらせてもらってます。


 畑中はレギュラーですので、控えの選手よりも先に打つのは


 今までの僕たちのやり方なんです。」





「おい、お前はもう忘れたんか?」





「何をですか?」





「ワシが来る前にお前らが勝手に決めたレギュラーなんか白紙じゃ言うたじゃろう。


 それに、お前は上下の秩序が大事や言うたじゃないか。」





ええ、前日キャプテンは確かにおっしゃいましたが・・・。





「ほんなら3年生より2年生が先に打ついうのは、おかしな話じゃろうが。」





「それは・・・。」


キャプテンの沼田さんは、申し訳なさそうに私の方に顔を向けられました。





「沼田さん、いいですよ僕は後で打ちますから。」





実際、私は打つ順番なんぞどうでもいいと思っておりましたし、


これ以上キャプテンに嫌な思いをさせるのも申し訳ないので、


そう言ってバットをグローブに持ち替え守備につきました。





この時の私は、確かにイラッとはしておりましたが、


これが、大男の私に対する嫌がらせの始まりにすぎないのだという事実には


全く気づいてなかったのでございます。

















                                                                           (つづく)






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