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〜 共闘拒否 〜

私がジャイを殴って野球部を辞める。


そんな根も葉もない噂の出所を探るために私が向かった場所、


それは体育館の裏でございます。





そこにいたのは、クラスメイトの梅木とこれもまた同級生の堀内と筒井の三人。


こいつらは、昼休みには人目につかない体育館裏にたむろして


ダラダラと駄弁りながらタバコを吹かしているようなベタなヤンキー達でございました。





「おう畑中、どうしたん?」





ウンコ座りの体勢のまま私を見上げる梅木に、私は単刀直入に申しました。





「お前だろ、俺が野球部辞めるなんて噂流してんの。」





すると、ニヤっと楽しげに笑う梅木。





「あ、あれ違うよ俺じゃない。


お前が野球部辞めそうって噂は俺も色んな奴から聞いたんだよ。


 俺はそれだけじゃイマイチ面白くないから、権藤を殴ってっていうのを足してみただけ。」





・・・やっぱり。


こういう連中の、他人の気持ちはどうあれ自分が楽しい事をやりぬくという姿勢には


ある意味頭が下がります。





しかし、これは成敗しておかねば・・・。





私はウンコ座りのままの梅木の頭に思いっきりグーパンチ!





「痛っ!! 何すんだよお前っ。」





「何すんだじゃねえよ。そんな噂流して何が楽しいんだよお前はっ。」





「いいじゃん別に。皆結構驚いてさ、畑中はいつ権藤を殴るんだって


 楽しみにしてる奴もいるみたいだぜ。」





よくもそんな楽しげにぬけぬけと・・・。





怒り心頭の私は、梅木の頭にもう一発お見舞いしてやろうと拳を振り上げました。


その瞬間、





「やめとけって。」





と、私を羽交い絞めしたのは堀内。


柔道部崩れで、


どこぞの相撲部屋からスカウトでも来そうな程立派な体格の持ち主である堀内に


後ろから羽交い絞めされた私の体は宙に浮くような形に。





それをまた楽しげに見ながら、筒井が言います。





「畑中、お前権藤からかなりやられてるらしいじゃん。


本当にやる気なら、俺たちも協力してやろうか?


 俺たちも権藤にはムカついてるからさ。」











この連中が、何故ジャイに敵意を抱いているのかと申しますと・・・。





入学直後から意気投合し何かとツルんで悪さをしていた梅木、堀内、筒井の三人。


公立の進学校では珍しいヤンキーな三人に先生方は手を焼いていたのですが・・・。


何せ、巨漢の堀内が暴れだすと先生方も手に負えないということで、


ほぼ野放し状態だったのでございます。





ところが数週間前にジャイが赴任してから、この三人を取り巻く環境も一変。


他の先生方が恐れをなしていた巨漢の堀内も、


レスリング出身のジャイから見れば文字通り子供扱い。


服装の乱れや悪態をことある毎に口やかましく注意してくる上に、


頭を小突く程度は日常茶飯事になっていたジャイに対して


この三人は、フラストレーションを溜め込んでいたのでございます。





まぁ、この三人の場合は自業自得感が否めないのですが・・・。











私の体を開放した堀内が言いました。





「お前もムカついてんだろ? 一緒にやっちゃうか?」



「だから、やらないっての!とにかく、これ以上変なデマを流すなよなっ!」





私は、三人にそう釘をさして教室へ戻る事にしたのでございます。














そして教室へ戻る途中の廊下、職員室を通り過ぎたあたりでのこと。





「おい、畑中。」





と、後方から私を呼び止める声がいたしました。


振り返ると、声の主は前野球部監督の澤地先生でございます。





「畑中。今日の放課後、野球部の練習に行く前にちょっと職員室に来てくれ。」





・・・





・・・





・・・



何かもう、面倒くさい・・・。








                                             (つづく)



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