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〜 気苦労 〜


大会が行われる球場へ行くのは、ベンチ入りする部員と3年生のマネージャー2人だけ。





だって、移動用にジャイがレンタルしたマイクロバスは定員20名ですから。





はなから20人しか連れて行かないつもりでバスを借りたのか、


借りたバスの定員が20名だったから、20人しか連れて行かないという事になったのか、


ジャイの真意のほどは分かりませんが・・・。





いずれにせよ、今まで通り保護者に車の提供をお願いすれば、


全員球場へ行けるというだけの話でございます。





しかし、試合に出ることもない補欠部員と1、2年生のマネージャーは


球場へ行く必要はないと。


いつもは、平日の試合であっても協力してくれる保護者の車の提供も必要はないと。


つまりこの大会、試合に挑む我が野球部の選手たちを


スタンドで応援する人間は全くいないということでございます。





ジャイいわく、





「決勝戦には全員連れて行く。」





という事らしいですが・・・。











念のために言っときますと、


この時点では全部員がジャイに反抗的なわけではございませんでした。


私のようにジャイの言動や行動を全否定するものもいれば、


ジャイの無茶苦茶な指導にはそれなりの理由があるはずという前向きな考えの下、


従順に従う部員もいたことは事実でございます。





したがって、この時も


「決勝戦には・・・」


というジャイの言葉に対して、


自分たちの奮起を促しているのではないかと、好意的に受け取る部員もいるにはいました。





・・・私にはとてもそうは思えませんでしたが。





・・・その答えも、すぐに分かるのですが。





いずれにせよ、試合の日には球場に行くことすら出来ないということが決定した私。


また、親父には知られたくない事実でございます。


仕事を休んでまで部員の送迎に車を提供するつもりの親父を、


何とか当日は球場に行かせないようにしなければなりません。





保護者の車の提供は必要ないというジャイの意思を伝えればいいのですが、


伝え方を間違うと、ややこしい事になりそうな内容でございます。


私は多少ニュアンスをにごしながら話をすることにいたしました。





試合に出る可能性のない人間は球場に行く必要はないというくだりは


全くなかったことにして、


まず、試合が平日なので保護者に迷惑をかけるからという部分だけを抜き取り、


出来るだけ好意的にとれるように親父に話して聞かせました。


その上で、私が試合に出ることはないのだから


仕事を休んでまで観戦に来る必要はないのではないかという事を必死に説明。





何とか、親父から





「まあ確かに、お前が試合に出るわけでもないのに


 平日に仕事休んでまで観にいく事もないか・・・。」





という言葉を引き出し一安心。





この頃の私は、ジャイのお陰で色々と気苦労が絶えない日々を送っていたのでございます。








                                            (つづく)


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