〜 めざせ決勝戦・・・ 〜
試合当日の学校から球場への移動は、マイクロバスに乗っていくというジャイの通達。
しかし、ジャイいわくマイクロバスの定員は20名。
野球部の部員は28名、各学年に2人ずついる女子マネージャーを加えると
総勢34名になるのですが・・・。
キャプテンの沼田さんがジャイに確認をいたします。
「じゃあ、バスに乗れない部員は保護者の方の車で送ってもらうように
お願いすればよろしいですか。」
「そんなもんいらん。」
えっ?
・・・じゃあ、他の部員は歩いて30分かかる最寄の駅から電車に乗って移動ですか?
と思った矢先のことでございます。
「試合にはバスに乗れる人数だけ行ったらええ。
ベンチ入りの人数は18人じゃないか、
マネージャーも3年生の二人だけおったらええじゃろ。」
えっ?
「試合の日は平日で授業もあるじゃろうが、試合に出んやつまで来る必要はないわ。」
なんですとぉーー!?
がんばれキャプテン沼田!!
「監督。大会の試合が平日の場合、野球部員全員が授業に出ずに球場に行くのは
学校からも認められているはずですが。」
「そんなもん決めるのは監督のワシじゃ。」
キャプテンの抗議も一蹴でございます。
試合に出ている選手からすれば、
スタンドの仲間から送られる声援は励みになるものでございましょうし、
控え部員も、試合に出ずとも共に戦うつもりで仲間に声援を送るものでございます。
マネージャーとて同じ気持ちでございましょう。
それなのに、試合が行われる球場に行くことすら出来ないなんて・・・。
これは、部員もマネージャーも納得できるわけがございません。
で、不満げな私らに対するジャイの言葉が・・・、
「安心せえ。決勝戦には全員連れていってやるから。」
決勝戦!?
・・・この男は一体、どこの野球部の話をしているのでございましょう。
田舎町とはいえ、大会に出場する高校は60校以上。
決勝進出するためには、それまでに5つ程の勝ち星が必要なわけで。
私らは、100年近い学校の歴史の中でも
3回戦進出が最高という万年弱小公立進学校でございまして・・・。
こないだの大会も2回戦負けという結果でございまして・・・。
自分らで言うのもなんですが我が野球部が決勝戦に勝ち進むなんてことは、
我が野球部以外の高校が全て出場辞退してくれるくらいでないと
有り得ないことでございまして・・・。
私らは、またもジャイの嫌がらせとしか思えない指令の下で
大会に挑むことになったのでございまして・・・。
(つづく)