〜 試合開始!いろんな意味で・・・ 〜
ジャイが監督に就任してから初めての練習試合当日。
以前ジャイが赴任していて監督と知り合いだということで
我が高校のグランドにジャイが招いた△△農業は、
実力的には我が野球部と同じ、いや少々劣るくらいで
普通にいけば10回やれば8回は勝てるくらいの相手でございます。
試合前1塁側ベンチに陣取った私たちを前に
ジャイが打順の1番から読み上げる形で先発メンバー発表。
ええ、もちろん私の名前が呼ばれることはありませんでしたが、何か?
私以外の先発メンバーは、意外というかなんと言うか
それまでのレギュラーメンバーを主体とした、
それほど波乱をよぶものではございませんでした。
つまりは、私だけが極端にジャイに嫌われているというのが
浮き彫りになったわけで・・・。
まぁ、これは予想通りのことでしたし
親父に練習試合のことを言わなかったのは正解でございました。
そして試合開始。
とりあえず私は、ベンチの隅で他の控えメンバーとともに
試合の状況に合わせて、選手たちに声をかけておりました。
で、試合の方はといえば序盤から思いもよらぬ一方的な展開へ。
3年生エースの宮川さんが初回からボコボコの滅多打ち。
まぁ、滅多打ちとはいえ打球としてはボテボテのゴロ。
飛んだコースも、決して取れないコースではないのですが、
何せ我が野球部の野手陣、
連日ジャイから執拗に受ける片足跳びとウサギ跳びの懲罰のおかげで
ほぼ全員筋肉痛。
足の動きが重いもんで、正面以外の打球は
面白いように野手の横を抜けていくのでございます。
ほんでもって、その中に程よくフォアボールやエラーが絡むという
典型的な大量失点のパターン。
力ない打球が野手の間を抜けたり、エラーが出るたびにジャイは
「何やっとるんじゃぁー!! そんなんも取れんのか、バカタレがぁ!!」
などと、試合中にも関わらず感情的な怒号をあげます。
その度に、
「そりゃ、あんたのせいでしょうが・・・。」
と、ベンチの控えメンバーはジャイへ冷たい視線。
そうこうしてる間に試合は6回まで進み
0対7と圧倒的敗戦濃厚なムード。
普通にやれば勝てない相手ではないものを・・・。
そして、予想外な試合経過に
単細胞的な感情を抑えられないジャイの怒りの矛先は、
突然こちらへ向けられたのでございます。
(つづく)