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普通少女烈風伝
出現する少女、怪異、土地、地名などは。架空のものです。
作者:うつつ
黄泉船の鬼(晶の場合)
ユラリ、ユラリ、気がつくと身体が緩やかに波打っている。遠い記憶の母の腕の中の様だと思った所で。ハッとして飛び起きた。
頭の芯になにかに引き巻かれてるような圧の係る痛みが走った。
「何・・・何がおきてるの・・・」夢?夢にしては汐の香りこの肌を刺す様な夜の空気、
晶は、自分の全身をさっと検分し、ぎょっとした。
白い着物に紺色のべこ結びをしている。17才の少女にしては奇怪な風体だ。夜の潮風になびくサラサラの肩までの黒髪には、何故か似合ってることもない。
汐風のみに浴びてる時点で異変は重々に感じてる。
だが、晶はそれよりもこのどうしようもないじりじりと脳髄をやく焦燥感に拳を握りしめた。心臓が早鐘を打つ・・。
おちつけ。落ち着こう。呼吸が早すぎるぞ。。
晶は、握りしめた白い柄の匕首のようなものには意識を向けないようにした。
その存在を認めた時点で何かが始まるきがしたから…。
敢えて、数時間前の過去の記憶に思考を巡らせた。