表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
史上最強のメジャーリーガーは引退後は二度目の異世界で自由なスローライフを送りたい  作者: 葵彗星


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/66

第20話 ギルドマスター登場

 シモーヌはかなり呆気にとられているようだ。


「あなたってお人好しすぎよ。馬鹿正直に守ることないでしょ」

「いいから受け取れって。元はと言えば、あんたらも採取しようとしてたんだろ?」

「……それはそうだけど」


 かなりためらっているな。でも彼女の言う通りかもしれない、確かにお人好しすぎかもな。


「わかった。そこまで言うなら、いい」

「あぁ、ちょっと待って!」


 ヤドゥークリ草を袋の中に入れると、シモーヌが手で制した。


「おいおい、なんだよ? 欲しいのか欲しくないのか、どっちなんだ?」

「悪かったわ。欲しいわよ」


 スッキリしない気持ちだが、ヤドゥークリ草を少しだけシモーヌに手渡した。


「ありがとう。でもさ……その前に一つ条件があるのよね」

「条件?」

「結論から言うと……私と……その」


 かなり言いづらそうな顔をしている。まさかと思うが、俺は嫌な予感がした。


「おい、アレはヤドゥークリ草じゃないか!?」


 突然別の男の声が聞こえた。ギルド内にいた冒険者の一人が、俺の持っているヤドゥークリ草を発見した。


「おぉ、本当だ。ヤドゥークリ草だ!」

「まさか……あんた西の鍾乳洞の奥で見つけたのか!?」

「なんだよお前ら。言っておくが、あげないぞ」


 気づけば俺は注目の的になっていた。


「なぁ、西の鍾乳洞にずっと鎮座していた変な鎧の魔物がいただろ?」

「いたけど、もう俺が倒したから心配ないぞ」

「た、倒しただって!?」


 全員が一気に俺に注目しだした。この冒険者達もスネイル達と同様、あの魔物に挑んだのか。

 それにしてもこの反応だと、ますます目立ってしまうな。確かに歯ごたえのある魔物だったが、まさかここまで注目されるとは。


「あんたが……まさか一人で倒したって言うのか?」

「嘘だろ!? 俺達の攻撃なんか、まるで通用しなかったんだぜ!?」

「ありゃ新種の魔物だ。あんな化け物今まで見たことないのに、お前さんは一体?」

「いや……俺はその……」

「あのね、この人は私の新しいパートナーなの!」

「ぱ、パートナー!?」


 突然シモーヌが変なことを言い出した。まずいぞ、なんだかややこしいことになってきた。


「異国の地から来られた人なのよ。私達の常識では考えられない、凄いスキルや能力を持っているわ」

「おい、勝手なことを……」


 確かに半分言っていることは正解だけど、ここで俺の素性についてあれこれ詮索されたくない。なんとか誤魔化さないと。


「悪いが、俺は忙しいんでな。このヤドゥークリ草を持ってカウンターに……」

「確かにこの辺じゃ見ない顔だ。名前は何というんだ?」

「異国って一体どこの国から来たんだ!? それにあんたの戦闘職は!?」

「剣士というか、斧使いにも見えねぇ。背中に背負っているのは棍棒か!?」

「冒険者ランクはAか? それともS?」

「なぁ、シモーヌ。もっとこの男について、詳しく教えてくれよ!」

「おい、お前ら……」


 まずい。完全に注目の的になってしまった。俺は思わずシモーヌを睨んだ。


「言っておくけど、あなたの噂は朝から広まってたのよ」


 シモーヌは小声で俺に囁いた。


「朝から? まさかお前達が……」

「違うわよ。キングオークの死体が森で発見されて、誰が倒したんだってもっぱらの噂だったわ。この界隈じゃ、あんな強敵倒せる戦士なんてそうそういないから」


 シモーヌが言うには、森で変な格好をした人間が石を投げて、岩壁を破壊したのを誰かが見たらしい。完全に俺のことだ。

 しまった。昨日は久しぶりにこの世界に来て、完全に気持ちが浮かれていたんだ。誰かが見ていても不思議じゃないが、そんなこと気にもとめなかったな。


 それよりこの騒ぎをなんとかしないと。目立ちすぎるのはよくない。俺は二度目の異世界は静かにひっそりと暮らしたいんだ。二日目で早くも雲行きが怪しくなってきたな。


「静かに! 一体何の騒ぎだ!?」


 ギルド内が一気に静まり返った。気づけば、カウンターの前に一人の屈強な外見をした男が立っていた。

 白髪でツーブロックの髪形、豪華な革製のコートまで羽織っている。年齢的には老人に見えるが、ただならぬ風格だ。


「ギルドマスターのエンリケよ」

「おや、君は……?」

「マスター! 聞いてくださいよ。この男が西の鍾乳洞で、例の魔物を退治したって言うんですよ」

「あぁ、鎧の魔物のことか。まさか君が?」

「この男がどや顔で言ってましたぜ!」


 どや顔とか言うなよ。するとエンリケは俺の目の前まで近づいた。

 近づいてみたら俺より背が高い。おまけに顔に傷跡もある。

 さすがギルドマスターとだけあって、底知れぬ気の持ち主のようだ。俺の顔をじろじろと見出した。


「……君は新人かね? 見ない顔だな」

「新人じゃない。異国から来たんだ。これを鑑定してもらいたいんだが」


 俺は適当に誤魔化した。さすがに異世界から来たとは言えない。もちろんどこの国とも明確には言わない、ぼろを出さないためにも。


「まぁいい。ヤドゥークリ草の採取を達成したんだな。ご苦労だった、カウンターに持っていけ」

「ありがとう。それよりこいつらを……」

「あぁ、そうだな。お前達も他人の功績ばかり気にしてないで、さっさと依頼を受けろ。なくなってしまうぞ」


 エンリケが両手をパンと叩くと、集まっていたギャラリーも散った。なんだかんだでギルドマスターの影響力は凄いな。


「すまなかったな。西の鍾乳洞に出た新種の魔物のことは、俺の耳にも入っている。奴の強さは噂以上らしい」

「それにキングオークの件もね」

「なに? まさかそいつも君が……?」


 俺は黙って頷いた。


「なんということだ。道理でやたら注目されるはずだ。腕は確かなようだな」

「お褒めの言葉ありがとう。それよりこれを……」

「あぁ、すまなかった。おいファティマ!」

「はい! 今行きます!」


 エンリケが女性の名前を叫ぶと、カウンターから一人の女性が来た。ギルドの受付嬢だ。


「ヤドゥークリ草ですね。ありがとうございます、それでは今から鑑定いたしますね。少々お待ちください」


 受付嬢がヤドゥークリ草を持ってカウンターの奥の部屋へ入った。しばらく時間がかかりそうだから、一旦どこかで落ち着こうか。


「ねぇ、ちょっと……」

「あぁ、シモーヌか。どうしたんだ?」

「どうしたんだ、じゃないでしょ。さっきの話の続きよ」

「さっきの話……なんだっけ?」

「だから! あなたとパーティーを組んでほしいって言ったじゃない!」

「……え?」

いつもご覧いただき誠にありがとうございます!毎日ご覧になっている読者様には心から感謝いたします。


この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。


https://twitter.com/rodosflyman

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ