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史上最強のメジャーリーガーは引退後は二度目の異世界で自由なスローライフを送りたい  作者: 葵彗星


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第17話 シモーヌのお願い

 時刻はちょうど昼過ぎと言ったところか。俺とシモーヌは『キースラーの町』まで戻ってきた。


「ちょっと、どこに行くの?」

「『花鳥の集会所』だ。知人にヤドゥークリ草を渡してくる」


 まずは『花鳥の集会所』に戻って、セリナにヤドゥークリ草を渡さないとな。でもなぜかシモーヌまでついて来た


「知人って、もしかしてあのエルフの少女?」

「あぁ、そうだが……何か用なのか?」

「実は……お願いがあって……」

「お願いだと?」

「彼女って治癒魔法専門なんでしょ。その力が欲しくて……」


 シモーヌが言うにはさっき鍾乳洞で負ったローガンの傷が思ったより深くて、スネイルがつきっきりで看病してる状態らしい。

 シモーヌも治癒魔法は使えるけど、専門ではないとのことだ。


「彼女はかなり優れた治癒魔法使いよ。エルフっていうこともあるけど、彼女の力が欲しい」

「最初からそう言え。あとで頼んでみるよ」

「本当!? ありがとう、ゴーイチはやっぱり頼りになるわね! あ、でも……」


 シモーヌがショルダーバッグの中をごそごそと手探った。そして銀貨を数枚ほど取り出した。


「……これで足りる?」

「よせよ。俺じゃなくて、セリナにあげろ」

「そ、そうね……わかったわ。それじゃ頼んだわよ」


 それから俺達は宿に戻って、三階のセリナが泊っている部屋に向かった。


「おぉ、ゴーイチ殿。戻られましたな。セリナ様はいまシャワーを浴びておられます」

「シャワー? 体調は戻ったのか」

「はい、まだ全快というわけではないようですが……おや、そちらの方は……?」

「久しぶり、バッカス。元気にしてた?」

「おぉ、『白銀の王狼』のシモーヌ殿じゃありませんか」

「『白銀の王狼』?」

「私達のパーティーの名前よ」


 そうか。この世界の冒険者達はパーティーを組むのが習わしだが、そのパーティーには御大層な名前をつけるのが風習になってる。

 それにしてもバッカスがシモーヌ達を知っていたとは、もしかしてかなり実力のあるパーティーだったのか。


「言っておくけど、私達これでもBランク冒険者ですからね」

「……へぇ……凄いな……」


 Bランク冒険者はかなりの実力者なのは間違いないだろう。もっとも上から三番目だが。

 その上がAランク、Aランクだと超一流の冒険者扱いされる。そのためにはより強い魔物の討伐が必要になる。

 昨日遭遇したキングオークはAランクの魔物だったから、スネイルが討伐に躍起になっていたのは無理もない。


 俺の野球時代と同じだ。日本人のプロ野球選手がこぞってメジャーリーグへ挑戦したがっていた。そのために日本のプロ野球で実績を積む必要がある。いわばこの世界でいう、Bランク冒険者がAランク冒険者へ挑戦するための登竜門といっていいだろう。


 そして、Aの上がSランクだ。ただしSランクとAランクは天と地ほどの実力がある。たいていの冒険者がAランクどまりで一生を終えるのが普通らしい。


 Sランク冒険者は、ほんとうに限られた冒険者しかなれない。多くの冒険者からはもはや雲の上のような存在だ。俺が最初にこの世界に訪れた際も、Sランクの冒険者は一度も出会わなかった。Aランクの冒険者とは何人も会ったが、それでも当時の俺からしたらかなりの強さだった。


 果たしてSランク冒険者とはどんな奴なんだろう、一度でいいから会ってみたいな。


「あっ、ゴーイチさん! お帰りなさい」


 振り向くとセリナがちょうどシャワー室から出てきたところだ。顔色はよくなっているようでよかった。


「もう体のほうは大丈夫なのか?」

「はい、おかげさまでだいぶよくなりました。ご心配かけさせてごめんなさい」

「謝ることないって。それよりこれからは絶対に無茶するなよ。ほら、これ」

「あ!? ヤドゥークリ草……ってこんなにたくさん!?」

「いっぱいあった方がいいだろ。あと、ついでにこれも」


 盆地に生えていた黄色い花をプレゼントした。


「これは……いいんですか?」

「今朝、サリアへの花のプレゼントを渡しただろ。これはお前用だ。まぁ、本当は姉と同じ花だったらよかったんだが……」

「いえ、そんな……お気持ちだけでもうれしいです。ありがとうございます」

「……ふーん、いい雰囲気ねぇ……」

「な、なんだよ」


 ふと横を見たら、シモーヌがいやらしい目で見ている。なんか誤解されたかな。


「勘違いするなよ、俺とセリナはそういう仲じゃない」

「わかってるわよ。それよりさ、さっきの件を……」

「あぁ、わかった。セリナ、実は頼みたいことがあるんだが……」

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