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魔王軍の幹部会議で「…ふん、くだらん。」て言うやつになった  作者: 夕陽 八雲


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3/3

第2話 魔族になりました

 目を開けると、目の前にさっきまで俺がいた魔方陣と周りの木々が見えた。


 ()()()()()()()()()()を見て動かす。


「…本当に他の体に入ったのか。すごいな」


【どうやら、うまくいった様だな。】


「うお!? 頭の中に声が!」


 眠ると言っていたリオンだが、どうやらまだリオンの意識は起きていたらしい。


【…まだ少し時間があるようだから、これからのことを話す。】


「…おう。」


【先程言ったように、俺は力を使い果たして弱体化している。決して、それを誰にも悟られるな。当然ここで俺が死にかけていたことも、現在俺の中身がお前だということもだ。】


「わ、わかった。…ちなみに、バレるとどうなるの?」


【俺は魔族で魔王軍の幹部だ。魔族と人間は戦争の真っ只中…。俺の首を狙っている者は多い。 】


 人間と戦争中って…、俺はこれから人間の敵になるってことか。てことは、もしかしたら俺は魔族として人間と戦う事になるのか?


 …いや、こいつの代わりをするのは元の世界に帰るまでだ。他の世界の事情など深刻に考えないようにしよう。


「つまり、人間に気をつければいいんだな。」


 それなら俺が人間に会わず、過ごせばいいだけだ。なんてことはない。


【…いや、そうとは限らない。 魔王軍も一枚岩じゃないからな。幹部の中には他の奴を蹴落とそうする奴もいる。幹部の椅子を狙う他の魔族もいるだろう。】


「身内に敵がいるかもしれないてことか…大変だな。」


 でも、こいつって魔王軍の幹部なんだろう?


 ていうことは、この体はすごい力を持ってるはずだ。いざとなれば、魔王軍幹部の力で…


 (…いや、ちょっと待て)


 そういえば、さっき力を使い果たしたって…


「え…っ!?つまり、俺はそんな敵だらけの中、力の無い状態でこの異世界で過ごせと!? 」


【ふん、バレなければ問題ない。 この俺は幹部の中でもさらに高位の魔族だ。迂闊に、戦いを挑むものはいないはずだ。】


「ほ、本当にだろうな?」


【それに時が経てば力…、魔法の源である()()は少しずつ戻る。案ずるな。】


「そ、そうなのか?」


 やっぱり魔法が当たり前にあるのかこの世界は。そして、その魔法を使うための不思議パワーが魔力ということか。


【俺の体に入ったお前は、俺の記憶を見ることができる。最初は僅かな情報しか見えないかもしれないが、徐々にたくさんの事を知ることが出来るようになるだろう。魔力の使い方もそれで知り、強力な魔法を使うことが出来る様になる。】


 おぉ、なんかなんとかなる気がしてきた!


【…時間がない。最後に、伝える事がある。…常に冷静でいろ。 何があろうと動じることなく堂々としろ。】


「それは、お前のふりをするのに大事なことなんだな。」


 確かにそんな感じだもんな。こいつ。


 なんというか、クールな強キャラ…みたいな。


【『常に構えず、自然体で構えろ』 それが俺のモットーだ。】


 …武術の達人かよ。


 なんだ、そのトンチみたいなモットーは。


【…突然呼びだして、俺の都合に付き合わせてしまった。 …すまない。】


 ──ッ!


 いきなり殊勝な態度になりやがって、少しドキっとしたじゃないか!


「お、おう。気にすんな。 後は、俺に任せてお前は寝てろ!」


【…ふん、頼んだぞ。】


 そう言い残して、リオンの声は聞こえなくなった。



 (…さてと)


 何はともあれまずは情報だ。


(リオンは、記憶を見て情報を得られるって言ってたな。)


 そう思い、頭に意識を集中してみる。すると、まるで自分の記憶のようにリオンの記憶が見えてきた。


 知り合いの魔族の顔と名前、魔王軍の本拠地である魔王城についてなど、生活をするのに困らない程度の情報は見る事が出来た。


 見れる記憶の範囲は限られており、奴が何故瀕死の状態でここにいたのかは、その経緯はまだ見る事は出来ないようだ。


(かなり重要な記憶だと思うのだが…)


 …まあ、いいや。


 (しばらくは、知り合いに会わない様にしなくちゃな。…後、人間にも。)


 リオンに魔力が無いことと、中身が俺であることはバレてはならない。


 どこでボロが出るかわからんから、リオンが目覚めるまでどこかに隠れて、異世界ライフを無難にやり過ごそうか。


 …と考えていたところ、


 ―ガサッ ガサッ


「あぁ! リオン様、探しましたよ!」


 後ろの草むらから一人の女性が現れた。


 (え、誰?)


 リオンの名前を呼んだから、知り合いかな?


 俺は記憶の中から女性の情報を探す。


(…げっ、魔族か。)


 名前は、クロエ。 リオンの部下らしい。


 クロエは、長袖とロングスカートの上下黒い服装で大きな丸眼鏡をかけ、その背には人外の者感丸出しに黒い翼が生えていた。


「よかった~! いきなりフラっと、どこかに行ってなかなか帰ってこないんですもん!」


「…お、おぅ。」


 いかん、早速動揺してしまった。落ち付け、冷静にだ。


「『魔王城』に帰りますよ!さあ、さあ。」


 うげっ…、魔王軍の本拠地、『魔王城』に帰るだと!?冗談じゃないぜ!


 …と、言いたいところだが、現状行く宛ても無い。


 わけわからん異世界を彷徨いて、魔族の敵である人間に見つかったら面倒だし、魔王城とやらに行くことにする。


 リオンの記憶によると、魔王城にはリオンの居住する部屋があるらしいし。


「う、うぬ! そうしよう。」


「?」


 クロエが首を傾げてる。 今の言い方はリオンぽくなかったようだ。


(こりゃ…なるべくしゃべらない方がいいかな。)


 早速ボロが出てしまった。


 魔王城に到着したらすぐにクロエと別れて、誰にも会わないように自室に引き籠ろう。


「では行くぞ、クロエ! 魔王城へ!」


「…なんでそんなに気合い入ってるんですか?」


「は、早く帰りたくてな。 疲れてるから、休みたいんだ。」


「はあ…。そうですか。」


 若干訝しんでるが、まだ中身が別人だとはバレてはいない様だ 。


「でも、リオン様。お疲れのところ残念ですが、この後すぐ()()()()がありますので。」


「………………へ?」


 なん…だと…


 誰にも会いたくないっていうのに!


「世界中に散らばった最強の魔族達が一堂に会しますからね。ドキドキしますね~!」


(なんだってー!?)


 世界中に散らばった最強の魔族…。


(別の意味でドキドキするわ!)


 やばい、鼓動が早くなってきた。


「もう~、リオン様。そもそも私達はそのために、魔王城に向かってたんじゃないですか~。」


(なんだとおおおおおおおお!?)


 リオン様、そういう事はあらかじめ言ってくださいよ!


 背筋に冷や汗が伝う。


 まずい展開だ…


「では行きましょう。リオン様!魔王城へ! 」


「お、おう…い、行くぞ…。」


 俺は動揺を悟られない様に、無表情に応えるしかなかった。



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