第八章
「大丈夫・・・?ねぇっ」
大きな声を上げているに違いない・・・目玉が下へ動いていくのがよくわかる。
ぐるりんじゃなくてじりじりと・・・。
「ちょっと・・・だめだってっ・・・ぁ・・・ぁ」
その声と重なってきたのは―――
「起きてる-―?いい加減に起きろってばもー」
「あぅっ・・・!?」
さっきまで蓮華が目の前に居たはずなのに・・・こんどは駿弥に代わっていた。
みんな鞄を机上にあげている・・・こんどはいったいどうしたと云うのか・・・。
「何言ってんの?バァーカ。 ボーッとしてたから起こしてやったのに」
よく見てみれば駿弥の右手はあたしの頬へと延びていた。
寝ていた・・・?あたしが・・・?
「いやぁ、寝ていたと云うか・・・なんかどこ見てるか解んなかったからさぁ、たしかにいつもあずはボーッとしてるけど今日は中々降りてこなかったよ」
え・・・そんな・・・たぶん教師が噛んだところからかな・・・。
じゃあさっきのは太一の言う通り、夢だったのかな・・・。
「夢ってことは寝てたんだなっ」
「いやぁ・・・白昼夢」
「ひゃ・・・ひゃくつーむ?」
「はくちゅうむ」
はくちゅうむってのはねぇ・・・じゃなかった。
さっきの声はきっと起こそうとしてたからかな・・・。
それと頬の違和感はあたしの頬をつねっていたから・・・?
「何だそれ、どう書くの?」
「白いに・・・昼に夢・・・だった気がする」
「あっそう。どうでもいいけどさ、なかなか喋らないで固まってたから荷物鞄につめてやったよ」
「あ・・・ありがとう」
これは手間が減るね・・・というか、もう授業終わってたんだ。
不思議な感じだ。あんなに色々・・・はっきり覚えてるのに夢なんて・・・気持ち悪い。
「でさぁ、このノートなんだけどさぁ・・・」
「あっ・・・それは・・・!」
駿弥が左手で持っていたのはあたしの自由帳・・・あれ?どっから・・・?
「鞄の一番奥に入れてたろっ。中味ぜぇ~んぶ見てやったもんねっ☆」
「えぇー・・・だめだよ」
ケラケラと駿弥は笑って楽しんでいるが、あたしはちっとも楽しくないぞ。
「なんかさ、あずって絵うまいんだねー。ってか昔から知ってたけど絵上手くなった」
「・・・駿弥に見せた記憶はまったくないのですが・・・」
「いちいちそんなん覚えてんの?朱とか見せたことある?」
覚えてるかと聞かれたら・・・そりゃあ覚えてない人もいるさ。
でも、駿弥は覚えてる。無い絶対。
朱も覚えてるよちゃんと。何回かはあるかな・・・。
なんとかノートを取り返すと、すぐに担任の先生が教室へやってきた。
なんか、今日はおかしな一日だったけれど・・・とても楽しかった。
すいません。"第八話"になってましたねww
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