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第七章

ぼんやりと立ちつくすあたしと、

きょろきょろしていた桃子ちゃん。

何かを求めうろうろする太一。

一番先に動いたのは蓮華だった。


「ちょっと行ってくるっ!」


ドタドタと勢いよく教室を飛び出して廊下を駆けていく。

その静かな足音だけが耳を心地よく刺激していた。


「あーとうこもぉー・・・」


ゆるゆるとしながら桃子ちゃんも夢中で追いかける。

蓮華様は美しいが、桃子ちゃんはなんというか・・・。

名前からは想像できないでしょうが、スポーティーな匂いが漂っています。


教室に残されたあたしと太一はとりあえず椅子に腰をかけた。

深くドンと座り、太一は机にぺたりと頬をくっつけた。

突然の出来事に動揺を隠しきれないのか足がしきりに動いている。

貧乏ゆすりにしては寒さが足りないかな。


「なぁ、これって何なの?俺の夢なの・・・?」


とうとう耐えきれなくなったのだろう。

太一は立ち上がりこちらへ移動してくる。

落ち着かないのはよくわかる。


「解らない。でも、その夢をあたしが見ているのは確か」


足音がバタドタドタバタ・・・近づいてくるのが解る気がする。


「でも俺の中の夢のお前がそう言うだけだとしたら・・・?」

「なんか・・・何て言ってるのか理解できん」


「みんな消えてるっ!1人もこの校舎に人はいないよぉっ!!」

「え、レンン・・・とうこたち居るんだけど・・・」

「あー、蓮華たち以外ねっ」


どうやら2人はこの校舎を走り回って誰か人はいないか探していてくれたらしい。

それにしては早いような・・・。


「だって今日、2年生はいないでしょっ。だからだよっ」

「うんうんんー」


とりあえず人がいないのは解った。

たしかに教室の窓から見ても人間は歩いていない。

なんだかおもちゃのまちに閉じ込められたようだ。

・・・って、閉じ込められては無いよね。

人がいない割には普通に地球は回ってるな・・・。


「はいっ、細かい事は気にしないっ・・・!」

「それはいいんだけど、どうする気ですか・・・?」


蓮華にあたしが言う。だってそうでしょ?

人がいないとわかったところでどうするのか。

それだけで消えた人間が戻ってきたら楽なんだけどさ。


何故か知らないけど身体が揺れている。何故・・・?

その揺れも一層強くなってきた・・・。何なんだこの感覚は・・・。


『・・・きてる? おいってば ねぇ・・・』


大きな声が耳元をこだまする・・・が、声の主はここにいるあたしを含む4人でない事は確か。

さっきの声は・・・誰の声?

思い出せない。聞き覚えは十分にあるのだけれど。


「どうしたの?あずちゃん」


蓮華が不思議そうにこちらを見ている。

さっきの声が聞こえなかったのか・・・。


「いやぁ、なんでもない」


一応そう言っておこう。

するとぐにゅぐにゅっとした感触が頬をおそう。

今度は何・・・?


「え・・・ちょ・・・えぇぇ・・・あずちゃん・・・??お――いっ・・・」


蓮華の声が薄れていく・・・その声はだんだんと・・・消えていく。

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