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第六章

授業が終わって、朱には本当の事を話してみた。

嘘ついたってしょうがないしね。朱は漏らすなといった機密情報をどこにでもばらまいたりはしない。

というか、そんなことなら最初からすみませんおくれましたと言ってもよかったかもしれない。


数分後に朱は「ふうん」と頷いてくれた。

でもこれを蓮華に告げるとどうなるか予想は出来ないので第三者には内緒。朱だけと言っておいた。


「なぁーんだ。ってっきり2人は出来てるのかと思ったぁ」


出来てる・・・?何のことだろう。


「うんぬふふっ・・・まぁ、いつかわかるんじゃないっ!?」


誤魔化された気分でいた。まぁ別にいいのだけれど。

さっきからだけど、だんだん睡魔があたしをおそいだした。

目がしょぼしょぼするし、頭がボーッとして何も考えられない。

次の時間は数学だと云うのに・・・。



いくらもがいたって時は刻々と過ぎていく。

時が止まるようなことは現代ではありえない。

だからいくら逃げたくたって時間は待ってくれないし、逆に迫ってくるのだ。

そんなのとっくに解りきっているが、どうしても数学の時間だけは来てほしくない。

いつもの憂鬱モードが学校に来るだけでも2倍となるのに数学だと通常の4倍だ。

なんでかは知らないけどだんだん教師の声が耳に届きにくくなってきた。

困ったなぁ・・・テストの時に勉強量がいっそう増えるじゃないか。


「えー・・・え、え、え・・・」


急に教師は話をやめた。

どうしたことやら・・・。


「あれ・・・?ん・・・」


次の瞬間、教師の姿が蝋燭(ろうそく)についた火のようにねじれながら消えた。

何が起こった・・・!?


するとあたしの周りに座る生徒たちも次々にねじれていく。

いったいどうなった・・・。

ほとんど空になった教室で、あたしとたった一人だけ残された人物がいた。


「あれっ…?みんなどこ行ったのかなっ」


キャピキャピとしていながらも落ち着いた低めの声。

蓮華である・・・。でもどうして・・・。

するとさっきは消えて言った人形(ヒトガタ)だったが、だんだん再び形を造って行く。

でも、さっき消えた人物とはまた別の少女の頭が出来上がった。


「あれ・・・ここは?」


少女の名は桃子(とうこ)。ボブヘアーで前髪を真ん中から綺麗に分けた少女で、

幼きころからの友達・・・つまりは蓮華と同様で幼馴染である。

桃子ちゃんも動揺してキョロキョロしている。そりゃそうだろう。

自分の学級でもないクラスへと飛ばされて堂々と立っている人形は見た事がない。


「あ、あずちゃん・・・れんー・・・ここは・・・?」

「蓮華たちの教室よっなんで桃子ちゃんがここに?」


それぞれに顔を見合わせては自分の居場所を再確認する。

あたしが足を置いている床はまぎれもなく我等の教室である・・・・・・。


「わっ・・・!」


再び人影が渦を巻きうにうにと出てきた。

シルエット的に・・・きっと―――


「たい・・・!?」


そう発したのは蓮華。

やっぱり・・・太一(たいち)・・・。

これまたさきほどの方々同様、太一も幼馴染のひとり。

昔は大人しくて細みだったのに・・・どうしてこうなった。


「あれ、ここは・・・?」


桃子ちゃんと同じような台詞を発する。

すでに変わった低い声が、殺風景な教室に響き渡った。

本当に何が怒っているのか誰も解らないのか・・・。

この状況下で一番落ち着いていたのは間違いなくあたしだろう。

みんな焦ってあわあわ言っていたが、このあたしだけは――黙り込んでいたから・・・。


それは色々と考えていたからで、言葉を失ったわけではない。

こんなことが現実に起こりうると思いますか・・・?

人々が消え、そして数名がまた出てくる。

何かがおかしい。文字だけ読んでもこの状況はきっと理解できない。

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