第二章
それは、靴を取っている時だった。
ぽんぽんとあたしの肩を叩く。
それは-――
「んっ」
手を差し出してきたそいつはもう片方の手であたしの右手を握っている。
廊下に人が蠢いている中、何をしたいのかまったくわからない。
でもそいつはあたしの手を放そうとする動きは無かった。
「そういえば、まだお前と握ってなかった」
そう、それは駿弥である。
なんだか心が温かくてとっても楽しい一瞬だったかな。
頑張って少し柔らかい掌を握った。ありったけの力を込めたけど、駿弥の顔は
手が痛いと云うよりも、とても楽しそうに見えた。
さっき蓮華のせいでどうかなった右手が一瞬で元に戻った-―気がした。
「よっわいな。 ぎゅうぅ-――」
弱いのはお互い様だよと言いたかったけど、なんとなく口を閉ざした。
廊下を歩く人々のざわめきは、もう聞こえない。
そのくらい不思議な感じがした。でも、たった一瞬・・・刹那の時だったわけで。
「あ・・・いっけない。俺、部活あるから!じゃあね」
「あー・・・うん」
あたしの足取りはスタスタ歩きからスキップに変わっていた。
あたしは気付いた。自分の気持ちに。
駿弥のことが好きという事を。