第十七話
その数日後のこと・・・。
「おめでとーじゃんかっ。まさか朱が先とはねぇ~」
蓮華はぴょんこぴょんこと跳ねながらそう言った。
おめでとう。そう言おうとした時だった。
「まさか朱に彼氏さんができるとはっ・・・!まぁ、蓮華にはまだ先の話だろうけどねっ」
そうかな・・・蓮華は正直、朱より美人だと思う。
朱が可愛くないって意味じゃないけど。
でも、それっぽいオーラがある。言葉には表しにくいけど。
彼氏さん・・・・・・あたしだって欲しかったよ。
でも、もういらない。誰もいらない。
「アタックしたら数日後に駿弥がOKくれたのぉ。積極的になってよかったぁって思ったぁ」
ちょっとヌけてて、天然で朱は可愛いから・・・。
それに、あたしと違ってどこか大人っぽくてお姉さんって雰囲気があるんだよね。
性格は全然違うけどさ・・・。やっぱりそういう系統の方がいいんだろうなぁ。
「蓮華とぉ、あずちゃんもモテるってぇ。すぐに彼氏ぐらい出来るよぉ。
蓮華はかっこいいしぃ・・・あずちゃんは大人っぽくていいしぃ」
大人っぽいのは性格だけで・・・いや、それは単に大人しいだけなのかもしれない。
いままでなるように流れていけばなんとかなると思っていたけど、やっぱり違うんだ。
「かっこいい?ありあとさんっ。蓮華カッコイイ女の人憧れてんだっ」
「うんうん、ちょっと凶暴かもしれないけどぅ・・・そこもいいんだよぉ」
なんだか残念な気持ちでいたけど、別に今のままでもいいと思った。
まだ完璧に諦めたわけじゃないんだけど・・・。
あたしの一番の短所はそこなんだ。人の顔の色ばかり疑って自分に言い聞かせてたんだ。
あたしは悪い子なんだって。
「なぁーんか最近楽しいなぁっ。別にこの件があったからじゃないんだけどねぇ」
「もーすぐテストなんて・・・蓮華はつまんないっ」
それぞれ勝手な事を口に出している・・・。
よくこんなんで隣を歩いて行けるなぁと思う。
気が合わないとか、そろそろ思わないのかね・・・。
そろそろ休み時間が終わってしまう。
なんだか鬱だねぇ。何もやる気がおらないほどではないんだけど・・・。
心の中は固まりもしないモヤモヤがのびのびと浮遊している。
その機体が動くたびに胸の奥が気持ち悪い。
「お早う、お姉ちゃん」
「ん・・・あ・・・」
もう4時限目だけどさ・・・。
そんなことをつっこむ気にはなれなかったね。
お願いだから、今のあたしには絡まないでほしい。
心の整理をつけなきゃ。
それなのにそんなにあたしの顔を見つめて・・・。胸が注射針で刺される。
「ちょっとはつっこめってば。あー・・・"こんばんはだよ弟くん"みたいにノッてもいいけどさ。
というか・・・なんかあったわけ・・・?今日はやけに大人しいなぁ」
「そうかな」
通常モードのつもりだよ。表向きはね。
壁の裏のあたしはもたれかかってひとりで泣いているけど。
いつも心はこんな感じだから、心配することは無いんだけど。
意外とすんなりと涙が流れ落ちてくるなぁ。
「おぉ~い?俺の顔はお前の机にはないんだぞ。机になんかあんの・・・?」
「ぁ・・・ごめん」
落ち込みすぎて机しか目に入ってなかった。
落ち込みすぎてそれにすら気づいていなかった。
人形のように返事をしているだけだった。
本当は絡んでほしくないかな・・・そんなことを言える勇気は無いけど。
「あ、わかったぞ。あずちん頭痛症候群でしょう?」
「・・・何それ」
「いつもお前、頭痛いとか云ってたじゃん。それ」
「あぁ・・・」
どうしてこんなにも駿弥は絡んでくるのだろう。
少しは朱の嫉妬心くらい考えてあげればいいのに。
でなきゃあたしのせいで苦しんでる朱を見てるのがつらいよ・・・。
でも口を瞑る。
「こんばんはぁ、弟くぅんっ」
「あ・・・朱じゃんか。俺は前の弟になった記憶は無いんだけど」
「はいはいぃ、あずちゃんのが面倒見よさそうだもんん」
そう言ってもらえるとうれしいかも・・・。
親戚同士で集まったときなんか、保育士さん状態。
「ねぇー、今日遊びに行ってもいいでしょぅ?せっかくなんだよぉ。初めてなんだよぉ――っ!」
「ん・・・はいはい」
朱と駿弥って組み合わせは想定外だったかも・・・。
なんか、蓮華とは意外といいコンビでいそうだったんだけどね。
見ているのが苦しいのは仕方がないよね。誰だってそうだよ。
胸の奥の奥がキュゥンと縮こまるような感じ・・・。
なんだか気持ちがいいけど気持ち悪いこの曖昧な感じ・・・。
嫌いじゃないかもしれない。
ちょっと失敗したなぁと思い始めました。
主人公のあずですが、ちょっと冷めすぎてますねw
このキャラクターが1番私に近い性格になってきてしまったと思います。
今更ですが、本当はもっと明るくて女の子らしいキャラの方がよかったかな・・・なんてね。
そんなこと言ったら余計落ち込んでしまうので続行させることにします・・・。