ステラ・マリス ep8-追撃のヘリオス団!シオンを包囲せよ-
星のコアを手に入れたその時、ヘリオス団が動き出す。
追撃の中、現れたのは冷酷な現場管理者マトメ。
その言葉に、トモキの心が揺らぎ――
小さな覚悟が、試される。
本文
「そこまでだ」
重たい声が、岩の陰から響いた。
「っ……!」
茂みの向こう、数人の黒い影が現れる。
その中央にいたのは、分厚いジャケットを着込んだ筋肉質の男。無骨なブーツで地面を踏みしめ、肩にはヘリオス団のマークが光っていた。
「おれは現場管理官マトメ!
貴様ら、科学者のガキと……その仲間か。まったく、あいつも厄介な種をばらまいてくれたもんだ」
マトメは肩をすくめながら、シオンたちを見下ろす。
「な……なんでここが……!」
トモキが震える声で問う。
「気づいてたに決まってんだろ。そこのコアが動いた瞬間、熱源反応が跳ねた。あの科学者の仲間が来ると踏んで、わざと弱らせて放置したのさ。まさかこんなガキ共が来るとは思わなかったけどな」
シオンは、トモキとカロンの前に立ちふさがった。
「そんな……パパを……わざと……」
トモキの声が小さくなる。足が、少しずつ後ろに下がる。
「さあ、そいつを渡してもらおうか。コアを。とっとと出せ」
マトメが一歩、前へ出た。
カロンが即座に盾となるが、トモキの手は震えていた。
「……うぅ……いやだ……」
「トモキ……」
シオンが振り返ると、トモキは顔を青ざめさせて立ち尽くしていた。
「こ、怖いよ……! どうすればいいの、こんなの……!」
カロンがそっとトモキの肩に触れたが、少年の足は動かなかった。
「……何のために、コアを持っていくの?」
シオンが問いかけた。
マトメは鼻で笑った。
「エネルギーだ。我々の活動には莫大な力がいる。そのために、こうして記憶の鉱石を片っ端から回収してんのさ」
「でも……そんなに大量に? 星が、消えてしまうんだよ……?」
「それがどうした? 消えてくれたら助かるよ。ほら、消えちまった星の記憶の鉱石は、希少価値がつくからな。市場じゃ高く売れる」
マトメの口元がゆがむ。
「ひどい……そんな、自分勝手な……!」
怒りに震えながら、シオンは一歩前へ出た。
「そんなやつらに……渡さない!」
――バチッ。
小さな火花のような音が、シオンの体からはじけた。
星のコアが、少女の怒りに呼応するかのように、光を放つ。
「カロン、お願い! トモキは私が守る!」
「了解デス。敵性存在、排除モード準備――」
「ううん、排除じゃない。抜け道を探して!」
「目標変更デス!」
その声に、トモキの顔が少しだけ上を向く。
「……ボクも……ボクも、行くよ……!」
少年が震える手で、コアを抱き直す。
「怖いけど……みんながいるから……!」
仲間の声が、勇気に変わる。
シオン、トモキ、カロン。
3人の小さな反撃が、今始まった。
逃げるのではなく、抗う勇気。
怖くても立ち上がるトモキの姿は、誰よりも強かったのかもしれません。
次回、逃走劇はさらなる展開へ。シオンたちは星の未来を守れるのか――!