ステラ・マリス ep7-目覚めのコアと揺らぐ信念-
ヘリオス団の目的が、ついに明かされる——
記憶の鉱石の中に眠る“星のコア”を巡る静かな争奪戦。
星の声を聞いたシオンと、感知能力を持つカロン。そして、勇気をふりしぼるトモキ。
3人は敵より先に、星の心を守れるのか……?
森の奥深く。封鎖された鉱石倉庫に、シオンたちは忍び込んだ。
「……すごい数……」
シオンはごくりと息を飲んだ。
そこは、広大な地下ホールだった。青白く光る鉱石が山のように積まれ、無数の結晶体が脈動するように、かすかに揺れている。
「全部、記憶の鉱石……」
トモキが呆然とつぶやく。
その中に“星のコア”が紛れているという。
「シオン様、熱源反応の異常な箇所を一か所、発見したデス」
カロンがレンズを光らせながら報告した。
「中心部に近い地点デス。通常の鉱石よりも高いエネルギー値が検出されてマス」
「……やっぱり、コアはここにあるんだ」
シオンが小さくうなずいた。
そのとき、通路の奥から人の声が聞こえてきた。
「なぁ、やっぱ“コア”ってのを盗み出すのが目的なんだろ? だったら何でこんなに集めてんだよ?」
「バカだなお前。コアがどれかわかんねぇんだよ。だからとりあえず、根こそぎ全部持ってく作戦なんだってよ」
「……あぁ。じゃあ早く集めねぇと、帰れねぇな」
ヘリオス団の構成員たちが、倉庫の奥で雑談しているようだった。
トモキが息をのむ。シオンとカロンは、静かに視線を交わす。
「……星が言ってた」
シオンがぽつりと呟いた。
「“わたしの心を、連れていかないで”って。コアのことだったんだよ……」
「その声、今も……聞こえてるんデスか?」
「うん。この先、呼んでる。間違いない」
トモキは工具ポーチを握りしめた。
「行こう……ボク、がんばるから。コア、守りたい……!」
「よし、トモキ。頼もしいぞ!」
マサキの言葉が、シオンの中で蘇った。
「泣き虫だけど、頭は切れる。あとは、勇気さえあれば最強だってね!」
3人はうなずき、そっと奥の通路へと足を踏み入れる。
—そして、そこにあったのは——
大理石のように輝く、巨大な鉱石の“心臓”。
周囲の結晶とは明らかに違う鼓動。あたたかく、優しく、そして寂しげな光。
「……これが、星のコア……」
シオンが手を伸ばす。だがその瞬間——
「——やっぱいたか。ガキども」
背後から、鋭い声が響いた。
反射的に振り返る。そこには、黒いスーツに身を包んだ男たち。
ヘリオス団の構成員が数人、銃を構えていた。
「ま、コアの場所がわかっただけでも収穫か。ありがとよ、お星さまの子供たち」
冷たい笑みが、倉庫を満たす。
シオンはコアを背に、息をのんだ。
「絶対に、渡さないから……!」
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第7話では、敵組織ヘリオス団の目的が少しずつ明らかになり、シオンたちが“星のコア”という核心に触れる回となりました。
次回、コアを守るための逃走劇か、それとも……?
どうぞお楽しみに!




