表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星詠みのシオン  作者: ray a life
海の星 ステラ・マリス
4/36

ステラ・マリス ep4-星の秘密と、少女の運命-

彼女だけに見えた、星の記憶。

それは、出会いと旅の始まりの鐘だった。


夜が来た。


 草原の上で、シオンはひとり、星を見上げていた。


(……あの時、なにかが聞こえた。確かに、星が“話して”た)


 星空は静かにまたたいている。けれど、今夜の星は――どこか、違う。


 その瞬間、シオンの視界に「文字」が浮かび上がった。


 星と星をつなぐ線、その交点に、小さく光る銀の文字。


 (……読める。なにこれ、知らない言葉なのに――わかる)


 “目をひらけ。星は歌う。命を、守れ”


 視界が揺れる。


 風が止まり、音が消える。


 そして、彼女は――“あちら側”へと引き込まれた。


 *


 そこは、夜空のような場所だった。


 まるで星々の記憶をたゆたうような、無重力の世界。


 その中心に、ひとりの女性が立っていた。


 白銀の髪。星の輝きをまとうドレス。

 その姿は、シオンがかつて見たどんなものよりも美しかった。


 「ようこそ、星詠みの少女。私はこの星――ステラ・マリス」


 「あなた……この星なの……?」


 「ええ。私には、声を届ける力がある。けれど、それを“聞ける者”はもう、ほとんどいない」


 シオンは黙って、その言葉を受け止める。


 「お願い、あなたに伝えたいことがあるの。この星が、いま――盗まれているの」


 「盗まれてる……?」


 「この星の命、私たちが守ってきた“記憶の鉱石”を、外の者たちが奪おうとしている。ヘリオス団と呼ばれる者たちが」


 記憶の鉱石。星が記憶を宿す、大切な命の結晶。


 「彼らがそれを持ち去れば、この星はやがて、死ぬわ。命を失い、声をなくす」


 「そんなの、いやだ……!」


 叫ぶように、シオンは言った。


 星と話す少女として、いま初めて“自分の役目”を知った。


 「あなたなら、この星を救える。そう、私は信じてる」


 微笑むステラ・マリスの姿が、光に包まれて消えていく。


 そして――現実が戻ってくる。


 *


 「う……っ!」


 目を覚ますと、そばにはトモキとカロンがいた。


 「シオン!? だ、だいじょうぶなの……?」


 「ぼんやりしてて、動かなかったデス。異常バイタル反応があったのデス」


 シオンはすぐに、ふたりに語り始めた。


 この星の記憶のこと。

 盗まれている鉱石のこと。

 そして、“ヘリオス団”という存在について。


 話を聞いたトモキは、握りしめた小さな拳を震わせながら言った。


 「……ぼく、そんなのゆるせないよ。パパの研究も、鉱石を救うためにあったのに……!」


 「任務への詳細な干渉は禁則事項デスが……」

 「でも、わたしは知ってる。あなたも、守りたいんでしょ?」


 カロンはしばし沈黙し、そして小さくうなずいた。


 「了解。作戦“星の命”を、優先行動に設定」


 「よし、じゃあ決まり!」


 シオンはにっと笑い、空を指差す。


 「この星、ステラ・マリスを、私たちで救おう!」


 こうして、3人の小さな旅が始まった。



「星を救う」。

それは壮大で、無謀で――でも、誰かがやらなければいけないこと。


次回――

『第5話:ミッション開始!泣き虫とロボと星詠みと


子どもとロボットと、星詠みの少女。

3人の旅が、森の奥で正式に始まる!


どうかお楽しみに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ