エレキ ep4-仕組まれた希望-
闇に封じられた父を救うため、王都の地下へと潜入したシオンたち。
密やかな作戦は、ひとつの奇跡にたどり着く――
囚われのマサキとの、ついに叶った“再会”。
けれどその奇跡は、罠という名の地獄への導線でもあった。
姿を現すネブラ。
閉ざされた牢獄を取り囲む兵たち。
逃げ場のない包囲網が、今、静かに締まりはじめる。
試される絆と覚悟。
抗う者たちの決死の戦いが、ここに始まる――!
王都の地下に隠された牢獄――それはまるで、地の底に葬られたような空間だった。
「こっち……トンネルの先、右……!」
地図の指示通り、一行は慎重に進む。通路の監視システムは、カロンがことごとく無効化していく。
「これは……!」
最後の扉を開いた瞬間、トモキの目が見開かれた。
そこには――鎖に繋がれた父、マサキがいた。
「……!」
「パパぁ!!」
駆け寄るトモキに、マサキが顔を上げる。
「……やっぱり、来やがったか。バカ息子」
その声は弱っていたが、確かに、笑っていた。
「生きててくれて、よかった……!パパぁ……!」
カロンが無言で、マサキの鎖を断ち切った。その瞳の奥に、確かに何か揺らぎがあった。
「久しぶりだな、カロン。……顔つきが変わった」
「……トモキ様と過ごして、少しだけ、心が温まったようデス」
マサキは静かにうなずいた。
――だがその時。
「待っていたわよ、星詠みの仲間たち」
不気味な声が、牢獄の外から響いた。
⸻
Scene 4:裏切りの導線
現れたのは、ネブラ。
エレキ星の補佐官を装っていた彼女は、黒い軍服をひるがえし、嘲るように笑っていた。
「ノヴァの時は、ヒヨッコどもだから見逃してあげたけど……正直、ちょっと面倒になってきたのよね」
「ネブラ……最初から……罠だったのか!」
「ええ。あなたたちがマサキを助けることは、折り込み済みだったの。牢獄の出入口はすでに包囲されてるわ」
バシュッという音と共に、牢の扉が強制的に開かれる。
その向こうにいたのは、無数の――国王直属兵たち。
「ここで消えてもらうわ。さようなら、星詠みの仲間たち」
そう言ってネブラは、音もなく闇に溶けるように姿を消した。
「くっ……!」
「ま、まわり、囲まれてるよぉ……!」
「マサキ様、後ろへ!」
カロンが前に出る。肩の装甲が変形し、武装モードへ移行する音が響く。
「……ここで終わらせない!」
シオンの強く言葉を発した。
そして、王都地下牢獄の大崩壊戦が、幕を開けた――。
マサキとの再会。それは、かけがえのない“希望”だった。
だが、その希望を刈り取るかのように現れた黒い影――ネブラ。
「ここで消えてもらうわ」
その言葉は、仲間たちへの死の宣告でもあった。
絶望の淵に追い詰められながらも、
立ち上がるカロン、叫ぶトモキ、そして光を纏うシオン。
地下牢獄は、もうただの“救出現場”ではない。
信じ合う者たちの、生きるための“戦場”へと変貌する。
次回、地下崩壊戦・決着編。
希望はここで終わらない――。




