エレキ ep3-作戦会議-
舞台は、雷の国・エレキ星の王都。
閉ざされた空の上、トモキの父・マサキは未だ囚われの身――。
星詠みの少女・シオン、幼き発明家・トモキ、そして不屈のロボット・カロンは、ひそかに王都潜入の作戦を練り始める。
希望を託された地図。
高圧電流が流れる危険な通路。
その先に、ほんとうに「再会」はあるのか?
これは、少年の願いと仲間の覚悟が交差する、決死の潜入作戦――
“家族”を取り戻すための、最初の一歩。
「……これが、パパの隠しルート……?」
トモキが広げた地図は、エレキ星の主制御中枢《雷の塔》と、その地下牢獄を結ぶ旧設計図だった。
書き込みには、「実験棟C裏側・非常排気ダクト」や「旧配線トンネル」など、正式なルートでは存在しない道ばかりが記されていた。
「たぶん……マサキ様が、自分の身に何かあった時のために、残しておいたルートデスね」
カロンが地図をのぞき込みながら、静かに言う。
シオンは、星の声に耳をすませていた。エレキ星の機械音は雑音のように重く、なかなか“本音”を聞かせてはくれなかったが――どこか、切迫した声がある気がした。
「……きっと、この星も、あの人を待ってる。助けに行こう。マサキさんを」
「うん……。今度こそ、絶対、失いたくない……」
トモキの拳が、震えていた。
⸻
Scene 2:王都へ
王都への道は、天空列車による強制輸送と空港ゲートのみ。だが、マサキの地図には別ルート――旧給電管路を利用した地下通路が記されていた。
「ここから……管路に潜るの?」
「はい。高圧電流が流れてますが、カロンの遮断フィールドがあれば通行可能デス」
「いやだぁ……感電死とか……ごめんだよぉ……!」
「ご安心を。通電するのは0.3秒以内デス」
「それでも嫌だよぉぉぉ……!」
なんだかんだと文句を言いながらも、トモキはガジェットを組み立てていた。狭い通路に対応した“磁気サーチャー”と、カロンと連携するEMPスニーカーだ。
そして、三時間後。
誰にも気づかれることなく、四人は王都の裏手、旧区画の地下へと足を踏み入れていた。
トモキの震える拳。
カロンの静かな献身。
シオンが感じ取った、星の奥底からのSOS。
それぞれの想いが重なり、動き出した潜入作戦。
けれど彼らはまだ知らない――
それが、仕掛けられた罠の入り口だったということを。
父を救うための冒険が、運命を試す“戦場”へと変わっていく。
次回、王都牢獄にて交錯する陰謀と、裏切りの幕が上がる。
どうか最後まで、彼らの物語を見届けてください。




