エレキ ep1-閉ざされたエレキ-
ノヴァ、そしてミラージュを越えて。
次なる星、科学と電気の星「エレキ」へ。
だがそこに待ち受けていたのは、意外な壁と、父・マサキの影だった――
本文:
「なにこれ……入港、禁止……?」
惑星航行を終えたシオンたちは、船内モニターの警告に目を疑った。
エレキ星──そこはトモキの故郷であり、彼の父・マサキがいるはずの場所。
だが今、その星は**『外部入港制限中』**という厳しい封鎖状態にあった。
「いやだぁ……どうして、こんな……」
トモキが小さな拳を握りしめ、唇を噛む。
「星の衛星警備は全方向から波状検知……軍事レベルの封鎖デス」
カロンの分析は冷静だったが、その口調にはどこか悔しさがにじむ。
「つまり、普通には降りられないってことね」
シオンは窓の外に浮かぶ、雷光が瞬く青白い星を見つめた。
そのとき、背後から軽やかなブーツ音と共に、声がした。
「でも、私なら“別ルート”から行けるわよ」
振り返れば、黒い鎧を纏った騎士――ユーリが、にやりと微笑んでいた。
「惑星パトロールの裏ルート。非公式だけど、使えるルートがあるの」
「さすがユーリ……!」
「ただし危険もあるわよ。監視の目をすり抜ける必要があるから」
仲間たちは顔を見合わせた。だが、迷いはなかった。
「マサキさんを助けに行くんでしょ?だったら行こう!」
シオンの言葉に、カロンが頷き、トモキが目を拭った。
こうして、シオンたちは密かにエレキ星への潜入を開始する。
*
青白い空、金属の光が煌く都市部──王都サンボルトの外縁部。
そこにひっそりと佇む、古びた研究施設。
それが、かつてマサキが暮らし、発明を重ねていた**「トモキの家」**だった。
「……変わってない。なにも」
トモキが玄関のパネルを操作すると、自動ドアがぎぃ、と軋んで開いた。
中は静かで、うっすらと埃が積もっている。けれど、どこか温かみがあった。
「懐かしいにおいがするね」
「デスが……何者かが最近、出入りした形跡がアリマス」
カロンが廊下を歩きながら、小さく呟く。
そのとき――
「みんな、これ……!」
トモキの家──いや、父・マサキの研究所に着いたシオンたち。
中は埃こそ被っていたが、精密な装置と図面が丁寧に保管されていた。
トモキが机の裏を探ると、小さなケースが現れた。
中には、父の筆跡で【To Tomoki】と書かれたメモリーボールが入っていた。
「これは……パパの……?」
ガチャ、とボールをセットすると、天井に光が走り、
宙にマサキのホログラムが浮かび上がった。
「……トモキ。お前がこれを見てるってことは……
俺は今、お前と話すことができない状態にあるってことだろうな」
マサキのメッセージには何が……!?
次回、「父からの手紙」にて、明かされる驚愕の展開。




