ノヴァ ep6-びっくりさせちゃおう大作戦!-
第16話「びっくりさせちゃおう大作戦」へようこそ!
前回の第15話では、マクが背負ってきた罪と愛、そしてシオンの力強い言葉が交差する非常に感情の重い回でした。
今回は一転して、少しだけポップに、でもやっぱり“本気”で――子どもたちが立ち上がる、そんな反撃の回です。
「びっくりさせちゃおう」なんて冗談みたいな作戦が、実は一番大切な想いに基づいている。そんな希望の物語を、楽しんでください。
「……これは?」
シオンがラボの奥から持ち出してきたのは、ほのかに光を放つ結晶だった。かつて見た“星の声”を聞いた、あの人工クリスタル。
「それは、私が作った…失敗作のひとつだよ」
マクがぽつりと答える。
「でも、すっごく綺麗。ちゃんと星の声も届いてるみたいだった」
「それは――」マクは言葉を飲み込む。「……私の祈りが入ってしまったのかもしれない。星に…何か届いていたとすれば、それは…願いだった」
シオンはその結晶を両手でそっと包み、目を細めた。
「だったら、これを使おうよ」
「え?」
「この“祈りのかけら”で、びっくりさせちゃおう大作戦!」
◇
「……というわけで!」
作戦ブリーフィングの場に立ったシオンが、勢いよく手を広げる。
「偽物のノヴァクリスタルを作って、ヘリオス団に『見つけたよ』って連絡!そしたら絶対慌てて取りに来るから、そこで――ユーリさんとカロンで、ババーン!って倒して、本物のクリスタルをゲットしちゃおうって作戦だよ!」
「それ、ぼくもやりたいー!」
トモキがキラキラした目で手を挙げる。
「じゃあぼく、偽物クリスタルの加工やる!うちの“スーパー・ウルトラ・ハイパー・イミテーション合成炉”で再現できるかもっ」
「軽すぎるデス…いや、逆に新しいデスネ」
カロンがうんざりしたように言ったが、その手はすでに自分の内部データにアクセスしていた。
マクは腕を組んで沈黙していたが、やがて、低くつぶやいた。
「……ネブラは、甘く見ない方がいい。彼女は人の感情を巧みに操る。心の弱さに入り込み、それを利用するんだ」
「なら、なおさら立ち向かわなきゃ」シオンが真っ直ぐに言う。
「心があるから、負けないんだよ」
「シオン…」
マクが振り返ると、そこには静かに立つユーリの姿があった。
「これがシオンです。星詠みの子の覚悟です。」
「……そんな。子供にやらせるのは危険だ。」
「そうですね。それでも私はシオンのやりたいようにやらせます。」ユーリは、仮面の奥で微笑んだ気配すらあった。
「どんな相手でもシオンは負けません。だって、彼女が背負っているのはあなたが一度捨ててしまった願いだから」
マクの目が一瞬揺れる。だが、その奥にあったネブラへの怒りは、不思議と静かに消えていった。
◇
トモキとマク、そしてカロンの手によって、“偽ノヴァクリスタル”は次第に形を成していく。
「まさかこんなに精巧にできるとは……本物と、見分けがつかない……」マクが思わず声を漏らす。
「じゃあ――びっくりさせちゃおう大作戦、発動!」
シオンの声に、皆が顔を上げた。
星を守るための、子どもみたいな、でもまっすぐな戦いが、今、始まる。
読んでくださってありがとうございます!
「びっくりさせちゃおう大作戦」、いかがだったでしょうか?
このタイトル、ふざけてるようでいて実はすごく大事な意味が込められています。
シオンの“あきらめない心”、マクの“かつての純粋さ”、トモキの“ものづくりの魂”、ユーリの“静かな愛”。
すべてが合わさって、ついに星を救うための反撃が始まろうとしています。
次回はいよいよ、作戦実行――そして、あのネブラが動き出します。
どうかお楽しみに!