96.突入!信奉者の集い!
「おはようございます。先生、エリーさん。」
俺は校内の空き教室に着くなり、先生とエリーさんに挨拶する。2人は休日であっても、襟から裾までぴっしりと整えた姿でいた。
その中でも先生は筒型の神具を持って、窓際を眺めている。
「先生、それは?」
「あぁ。この神具は遠くを見渡せるものでな。…………丁度、神に仕える者どもが集まってきた頃合いだ。」
そう語る先生の視線の先には、教会のある森があった。なるほど、俺達はこれから彼処へ突撃しに行くのか。なんて思っていると腕を組んだエリーさんが待ち切れないといった具合に口を開く。
「あいつらが集まってるなら、早く行きましょ!」
俺は急ぐエリーさんに腕を引かれて教室を出る。そんな俺達を見送る先生は、普段よりも柔らかい表情で言う。
「ヤシキ、エリー。忘れるなよ。後ろには私がいる。撤退の判断は迅速にして構わない。」
「はい!それじゃあ行ってきます!」
気合を入れて先生へ返事をする。エリーさんへ引っ張られて走る俺の鼓動は、一層脈を打っていく。
***
俺達は校舎を出て教会のある森へと到達する。なるべく気付かれないようにひっそりと歩む。その最中、いるはずもない人物を発見する。見知った後ろ姿。俺は声を掛けるか迷ったが、エリーさんはそうでないらしい。彼女はその人物に歩み寄って声を掛ける。
「クロンスちゃん!どうしてここに?」
驚いた当の人物、クロンスさんは肩をビクつかせたかと思うと暗い顔で答える。
「…………私、ヤシキくんやエリーちゃんの役に立ちたいんです。………だって、友達ですから。……………やっぱり、私は、邪魔ですか…?」
何があったのか分からないが、クロンスさんは随分沈んだ様子だった。しかし、俺は彼女の言葉を否定しなければならない。クロンスさんを邪魔だなんて、一度も思ったことはないからだ。
「邪魔なんかじゃないよ。ただ、クロンスさんは呪いの影響もあるから、ここから先は危ないと思うんだ。」
「呪い……そう、ですよね……。ごめんなさい。私、そこまで考えてなくて…。…………。」
すっかり落ち込んでいる彼女を見て、ふとあることを思い出す。何故、わざわざクロンスさんがここにやって来たのか。それは、彼女が友人の為と話してくれた理由で十分だ。なら、このまま帰してもよいのか。
クロンスさんは以前、自身の神託の力で傷付いていた。自分の存在が不要だと思い、それにより神託の力が作用してしまったのだ。ともすれば、今、彼女を突っぱねてしまうのは良くないかもしれない。
「クロンスさん、謝らないで。来てくれて嬉しいよ。………神の近くには行けないけど、それでも途中までなら一緒に戦おう。」
「!良いんですか?」
顔を上げた彼女に、隣にいたエリーさんは笑いかける。
「当たり前じゃない。呪いのことでちょっと心配だったけれど、クロンスちゃんはやる気みたいだもの。」
「………………ありがとうございます。私、精一杯戦います。」
クロンスさんと合流して、俺達は3人で改めて神に仕える者たちの下へ向かう。目標はすぐそこだ。




