95.おはよう!決戦の朝!
いよいよ神に会える日がやって来た。朝、俺は緊張からかいつもより早く目が覚める。二度寝としゃれこむにも、うまく眠れないのでいっその事このまま起き上がることにした。
普段よりしんとする部屋を出る。そして、リビングへと移動した。そこで珍しい光景を目にする。
「早いなヤシキ。」
先に居たのはハインセさんだった。彼の昼過ぎまで寝ている姿は珍しくないのだが、何故か今日は朝早く起きているようだ。しかも、朝食の用意も終えている。
「おはようございます。ハインセさん。………美味しそうですね。朝ごはん、頂きます。」
「おう。食え。オレも食うとするか。」
そうして二人、向かい合って朝食を取る。やけに静かに、食器がカチャカチャとぶつかる音のみ木霊する。何か話そうか。そんなふうに思案していると、ハインセさんの方から話題がやってきた。
「今日は学校も休みだろ?遊びにでも行くのか?」
「はい。………晴れると良いな…。」
「あー、この空模様なら晴れるぜきっと。まぁ、ちっと寒いだろうけどな。曇ってるよりは良い。」
「ですね。」
窓から空を眺める。空は丁度、日が顔を出してきた頃合い。体を包む冷たさは変わらないとしても、日が出ているというだけで気分はだいぶ違う。ハインセさんの言う通り、今日が晴れるなら少しは晴れやかな気持ちで出かけられそうだ。
「ごちそうさまでした。美味しかったです。」
「そりゃ良かった。そうだ、今日の夕飯は楽しみにしとけ。旨い肉が手に入ったからな。贅沢に丸々食おうぜ。」
歯を見せて笑うハインセさん。そんな彼を見て、ふとおかしな気持ちになる。そうだ、たとえ神と戦っても、俺には帰る場所がある。これで終わりというわけではない。すっかりエンディングへ入ろうという心意気だったが、そうじゃないんだ。
「……そうですね。今すぐ夜になってほしいぐらい楽しみです。」
「ははっ。オレも楽しみだ。きっと酒に合うぜ。」
「飲み過ぎないでくださいね。」
「分かってるよ。」
それから少し腹休めをして、俺は立ち上がる。ハインセさんはリラックスしながら俺に手を振った。
「気をつけていけよ。」
「はい。行ってきます。」
「おう。行って来い。」
ドアに手を掛けて、ハインセさんへ挨拶をする。再びただいま、と此処へ帰るために、俺は神との戦いに気合を入れる。今日の夕飯はお肉だ。やるべきことをやって、気持ち良く食べよう。




