94.いよいよ!明日への意気込み!
俺は人の少なくなった校内でエリーさんを探す。彼女へあす神に会えるということを伝える為だ。閑散とした放課後の校舎を見てエリーさんが見つかるか不安だったが、見覚えのある後ろ姿を発見して安堵する。
「エリーさん!」
「あら。ヤシキじゃないの。息なんて切らしてどうしたの?」
呼吸を整えて、話すべきことをまとめる。用意が済めばすぐに要件を伝える。
「実は明日、神様に会えるかもしれないんだ。それで、話をすれば呪いをどうにかできるかも。」
「!本当!?」
「うん。」
彼女は驚いた表情を見せたかと思うと、開いた口をぴしっと閉じて固い雰囲気となる。その影響で俺まで背筋が伸びる気持ちだ。
「ヤシキ。勿論、策はあるのよね。」
「うん。まず、神様が来る集まりに俺とエリーさんで行くんだ。相手の戦力が分からないから、無理そうだったら先生に助けてもらって逃げる。………ひとまずはこんな感じかな。」
「なるほどね。」
話を頷きながら聞いていたエリーさんは、深く相槌を打つ。彼女の鋭い視線に、己の作戦に不備があるかと身を固くしたが、エリーさんはすぐにニッコリと笑う。
「それで行きましょう。」
たった一言に体の力を緩める。エリーさんの同意も得たことで、明日がいよいよ迫ってくるのを感じてきた。
「この事、クロンスちゃんには?」
「伝えてないよ。呪いの影響があるから、一緒には戦えないし。変に負担をかけたくないんだ。」
「そうね。伝えるなら事後報告よ。ふふっ。呪いが消えたって聞いたら喜んでくれるかしら。」
エリーさんの言葉を聞いて想像する。呪いから解放されたクロンスさんを。
「きっと喜ぶよ。それで、心置きなくご飯も食べると思う!」
「…………クロンスちゃんはいつだってご飯食べまくりじゃない…。」
「そ、そうだね。」
何にせよ、これで呪いに決着がつくかもしれない。そう思うだけで俺の心臓は素早く脈打つ。緊張か、興奮か、はたまたそのどちらもか。いや、どちらでもいい。兎に角、やっと神と対面できるのだから。
そんな俺に対して、エリーさんはどうだろう。突然の決定にも関わらず、彼女は平然とした様子だ。いや、エリーさんはいつだってそうだった。初めて出会って、悩んで、その時以来、彼女は堂々としている。
「………エリーさんは、緊張とかしない?」
「えぇ。しないわね。」
「流石だね。」
「まぁ、ゲレター家の女だもの。強くなきゃいけないわ。それに、友人には格好いいところを見せておきたいのよ。頼られると嬉しいし。」
友人には格好いいところを見せておきたい。確かに、俺も少しそう思うかもしれない。ならば不安そうな顔はしてられない。
後ろ向きな気持ちを打ち消すため、顔を叩いて己を鼓舞する。
「よし!クロンスさん。明日、頑張ろうね。」
「えぇ!」
俺はクロンスさんと明日について話し、帰宅するのだった。




