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92.話し合え!作戦会議!

 オッヘルくんの話を聞いた俺は職員室を訪れる。彼から聞いた話を先生に伝える為だ。幸いにも、俺の様子から何かを察した先生はすぐさま席を外してついてきてくれた。

 空き教室へと移動すると、早速口を開く。


 「先生。近々、神様に直接会えるかもしれません。」

 「何。それは本当か。」

 「はい。神様に直接仕える人に聞きました。…………もしかすると、これで呪いをどうにかできるかもしれません。」

 「ふむ。」


 先生は俺の言葉によって、顎に指を這わせて考え事をする。少しの間を置き、彼は俺へ質問をした。


 「ヤシキ。貴様はその集まりへ行くというのか。戦闘になる可能性があっても?」

 「はい。勿論です。それと、エリーさんも行くと思います。まだ伝えてはいませんが。」

 「そうか…。ならば私も行かなければな。」

 「そのことなんですが…。」


 俺は躊躇いながらも、自身の考えを述べようと唾を飲む。確かに先生についてきてもらえたら安心だが、懸念もあるのだ。


 「先生には近くで待機してもらいたいんです。」

 「ほう。」


 静かな相槌にやや怯える。だが、あくまで落ち着いて先生へ俺の案を伝えるように心掛ける。寒さに固まる体を意識しながら、説明を始めた。


 「相手の力が未知数ですし、万が一もあります。その時、先生には俺とエリーさんを逃がす役割を担ってほしいんです。人を庇って逃げるのは、強い人でないと出来ないですし。」


 僅かな沈黙。片目をつむった先生は、俺の案を脳内で咀嚼しているようだった。校内の遠くで生徒が騒ぐ音。それさえもやかましい喧騒に思えた。そして、彼は答えを出す。


 「…………いいだろう。貴様の提案にのった。」

 「!ありがとうございます。」

 「さて、私は用意をしなければ…………ん?」


 言いかけたところで、ふと教室の外へ視線を移す。扉は閉まっているのでその先に何かあるわけではない。


 「先生?どうかしましたか?」

 「いや…気のせいだろう。」


 先生は首を振って言う。俺にはよく分からないが、何かを感じ取ったらしい。しかし、気の所為だというのならそうなのだろう。気にすることなく、俺はエリーさんを探すことにした。


***

 「さて、私は用意をしなければ…………ん?」


 教師の言葉に、教室の外で聞き耳を立てていたクロンスは身を固くする。しかし、気のせいだろうという発言にほっと息をつく。

 彼女は放課後、ヤシキが足早に何処かへ行くのを不思議に思いついてきていたのだ。そして話を盗み聞きした。


 始めから聞いていた為、ヤシキが神に会おうとしているのは理解した。と同時に、心の内には僅かな不満が一滴溢れる。


 「…………どうして、私には教えてくれないんです…ヤシキくん…。」


 教室から足を離した彼女はひっそり呟く。何故、ヤシキは自分に神について話してくれないのだろうか。何故、自分も共に戦おうと誘ってくれないのだろうか。友であるエリーさんは誘うというのに、何故、自分は。

 頭の中はそればかりで、頼りない足取りのまま、クロンスは校内をふらつくのだった。

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