80.前途多難!進捗報告!
課題も無事に達成して落ち着いた頃。俺は担任とゆっくり話ができると思い、放課後になって職員室を訪れた。用件は神様、より詳しくいえば呪いについてだ。
収穫祭で神に会ってから彼について知ろうとしていたのだが、如何せん進歩はない。他にも神に直接会ったことのある人に話を聞いたものの、やはり情報は足りない。その為、担任も何か情報を掴んだか聞きたかったのだ。
「………あれ。先生居ないな…。」
いざ話を、と職員室を覗く。当の担任は居ない。
「あら?ヤシキ。先生に用事かしら。」
声のする方を向くとエリーさんが居た。
「うん。どこに居るか知ってる?」
「えぇ。知ってるも何もこれから会いに行くのよ。一緒に行く?」
「そうするよ。」
お言葉に甘えてエリーさんについて行くことにした。それにしても、困っている時は何時も彼女に声を掛けられている気がする。
「エリーさんってタイミング良いよね…。」
「都合が良い女ってことかしら?返答次第じゃ張り倒すわよ?」
「ち、違うよ!いつも助けられてるってこと!」
「そう。なら良しとしとくわ。」
エリーさんから張り倒されることは何とか回避できたようだ。そうして、俺達が向かったのは空き教室だった。ここには以前、来たことがある。確か、エリーさんが呪いの研究をしている場所だ。
そこに入ると、先客として先生が紙束を持って座っていた。俺達に気付いたのか、紙から目を離して口を開く。
「よく来たなエリー。……ん?ヤシキも来たのか。何か用事でも?」
「はい。その、神様に直接仕えている人の情報が新しく入ってないかなって思って。………ありますか?」
俺の問いに先生は目を伏せて答える。
「残念だが貴様の期待した結果は出ていない。」
「そう、なんですね…。」
どうしたものかと考える。あの日出会った神について知りたいのに、これ以上ヒントがない。当に行き詰まりだ。
「………いっそ、直接神様と話せば良いのかな…。」
その考えは先生が首を振ることで否定された。眉を寄せながら、彼は続ける。
「主はいつも私達を見ている訳では無い。行事か、あるいは神の目を惹くような力が無ければ人が神の言葉を聞くことは出来ない。」
「行事…。力…。あっ!」
先生の言葉を反芻していると、俺はあることを思い出す。そうだ。俺は神から直接貰った力があるのだ。神託の力ではない。不完全な転生の謝罪として貰った力だ。これを使い倒せば神は俺と会話をしてくれるかもしれない。
「俺、試したいことが出来ました!ありがとうございます。それじゃあ!」
閃きを実行すべく、俺は教室を出た。向かう先は教会だ。神託の力を貰ったのはあそこだし、少しでも神と縁がある所の方が好都合だろう。
鼓動は動かす足と同様に高鳴る。どうか、俺の策が通用するように。そう願って走る。




