75.凍てつく冷たさ!寒波到来!
オッヘルくんから神の情報を聞いた俺は、更なる情報を求めていた。その為、他に神について詳しい人は居ないか聞くことに。
「オッヘルくん。他に神様に直接会ったことある人って知ってる?」
「いや…。僕とタリラくんしか知らないな。」
申し訳なさそうに眉尻を下げたオッヘルくんは、次いである提案をする。
「僕の方でも主に詳しい人間を探すことにしよう。」
「ありがとう。助かるよ。」
そう言って今日は解散することにした。外はすっかり暗くなっている。黒に塗りつぶされた空のもと、俺達は帰路へついた。
***
翌日。今日も今日とて学校だ。神様の情報が手に入らなくとも、学生である以上は学校へ行かなければならない。
そう思って家を出る。それにしても、今日は一段と寒い。ついこの間まで、ようやく風が涼しくなってきたと思っていたのに。
「うぅ…寒い。寒すぎる。」
学校が見えてきた。肩を擦りながら寒さに耐えようとする。そうしていると、後ろから声が聞こえた。
「おはようございます。ヤシキくん。」
「おはようクロンスさん。今日は寒いね…。」
やって来たのはクロンスさんだ。隣にはエリーさんも居る。彼女もまた寒さに体を震わせていた。
「寒すぎるわ!何だって急に寒くなったのよ!?」
「どうしてですかね…。寒くなるにしても、昨年より少し早いですし…。」
息を白くしながら彼女達は話す。
その時、冷たい風が俺たちの身体を通った。
「うぅ。寒い…。エリーさん、寒さをどうにかする神具とか持ってない…?」
「も、持ってないわよ…。あっ、でも良い案があるわ。ついて来なさい!」
何かを発見したのか、エリーさんは学校へ向かう人混みをかき分けて先へと進む。俺とクロンスさんは取り敢えず彼女へついて行く。
その先に居たのはオッヘルくんだった。彼はこの寒さの中でも平然と歩いていた。そこで俺はエリーさんの考えを察する。恐らく彼女は、オッヘルくんに火の玉を出してもらって暖を取るつもりなのだ。
「オッヘル!アンタの神託の力、出しなさい!」
「………おはようエリーくん。それにヤシキくん。……一体どうしたんだい?」
混乱するオッヘルくんへ、俺は挨拶と状況説明をする。
「おはようオッヘルくん。……その、寒いから、オッヘルくんに火の玉を出してもらいたいなぁって。」
「は、はぁ。構わないが…。」
及び腰になりながらもそう言って、オッヘルくんは火の玉を出してくれた。近くに寄った俺たちはその温かさに包まれる。
こんな寒さを和らげられるとは、なんて便利な神託の力なのか。
神託の力の恩恵にしみじみしていると、隣にいたクロンスさんが声を潜めて質問をする。
「………ヤシキくん、彼と仲良しなんですか…?」
「え?うん。俺たち、ファザコンビとして組んだんだからね。」
俺は胸を張って答える。ファザコンビ。その名の通り、ファザコンの2人組みだ。俺もオッヘルくんも父親が好きだから名付けたコンビ名。我ながら、良い命名だと思う。
「待ち給え!そのコンビは僕が入ってるのかい!?」
「コンビって2人なんだから決まってるでしょ?」
「その頓痴気なコンビに入ったつもりは無いぞ!?」
必死に否定するオッヘルくんへ、エリーさんが静かに言う。
「ファザコン同士、ぴったりね。メジャーデビューしたら応援してあげるわ。」
「ありがとう!」
「ありがとうではない!僕はファザコンビなどではないし、メジャーデビューもしない!」
「………………。」
そんなことを言うが、きっとオッヘルくんの照れ隠しだろう。うん。
俺はファザコンビとしての活動に胸を馳せる。すると、静かに口を閉じていたクロンスさんがオッヘルくんへ歩み寄る。
「オッヘル・オリヴァ。私はクロンス・メーダーと言います。エリーちゃんやヤシキくんの友達です。2人と仲良しなら、私とも仲良くしてください。」
「あ、あぁ。よろしく。」
まっさらな表情のまま、クロンスさんは握手を求める。困惑しつつも、オッヘルくんはそれに応じた。
なんというか、彼女らしくない雰囲気だ。何せ、オッヘルくんのことをフルネームで呼んでいるのだ。そんなことを思っていると、オッヘルくんの叫び声が響く。
「いだだだだっ!?クロンスくん、力が強いよ!」
「………そうですか。すいません。それと私のことは姓で呼んでください。馴れ馴れしいですよ。」
「わ、わ、分かったから、力を緩めておくれ!」
手を離されたオッヘルくんは、咄嗟に俺の後ろへ隠れる。どうやらクロンスさんに怯えているようだ。彼は耳元でひっそりと話す。
「ほ、本当に、彼女がヤシキくんの友達なのかい!?」
「うん。」
「それにしては暴力的というか、」
「嫌ですね。仲良くしましょうよ。オッヘル・オリヴァ。」
笑顔でクロンスさんが割り込む。そんな彼女とは咄嗟に距離を取りつつ、オッヘルくんは俺達と登校するのだった。




